大阪府警は6月16日、食中毒事故を起こして営業停止命令を受けていた期間中に弁当を販売していたとして、食品衛生法違反容疑で大阪府河内長野市の日本料理店「喜一」の経営者や女将ら3人を逮捕しました。この違法に販売された弁当でも再び食中毒が発生していました。「喜一」は高級レストランの格付け本『ミシュランガイド』に掲載されたこともある老舗です。日本の「代表格」ともいえる店の杜撰な衛生管理に関係者は衝撃を受けています。
最初の食中毒事故と営業停止命令
同店は2月8日に店で食事をした客から体調不良の連絡があり、便からノロウイルスが検出されたことを受け、富田林保健所が調査を開始しました。2月15日までに33人の患者が確認されたため、保健所は同日、衛生管理の徹底を指導するとともに、2月16日まで2日間の営業停止処分を出し公表しました。その後、追加の連絡により、2月8日から15日ごろまでの患者は最終的に43人に増加しました。
営業停止中の闇販売と再度の食中毒
ところが、営業停止中であったこの2日間にも、「喜一」は仕出し弁当11食を販売していたことが発覚しました。その事実が明らかになったのは、処分明けの2月26日、再び店で食事をした客から保健所に体調不良の申告があったためです。保健所が再度立ち入り調査を行った結果、2月22日から24日の間に食事や弁当を食べた計23人の患者が確認されました。これにより、富田林保健所は3月2日、前回よりも厳しい「営業禁止」処分を出しました。
営業停止中の弁当販売
「営業禁止」処分の解除
「営業禁止」処分は、「営業を認めない期間を特定せず、衛生状態が改善されたことを保健所が確認すれば解除する」という措置です。「喜一」は、施設内の調理器具の洗浄や消毒に加え、従業員への衛生教育などを実施しました。店舗側がこれらの改善策に関する報告書を保健所に提出し、対応が確認されたため、3月18日に営業禁止処分は解除されました。
相次ぐ食中毒発生と、行政処分中の違法な営業、それに伴う再度の食中毒という一連の事態は、ミシュラン掲載経験もある老舗高級料理店における衛生管理の甘さを浮き彫りにしました。今回の経営者らの逮捕は、食の安全に対する意識の欠如と、公衆衛生を脅かす行為の重大性を示すものであり、関係者だけでなく広く社会に衝撃を与えています。