米中間の貿易摩擦をめぐり、ドナルド・トランプ前大統領が「公正な合意」の締結を目指す姿勢を示した一方で、中国側は「威嚇や脅迫を中断すべき」と反発、両国の溝の深さが改めて浮き彫りとなりました。
トランプ氏、中国との「公正な合意」に言及
2021年1月23日、トランプ前大統領は記者団に対し、中国との貿易問題に関して「公正な合意」を模索していると発言しました。前日にも「双方にとって有益な、公正な交渉になる」と述べており、中国との貿易摩擦の解消に向けた意欲を示唆していました。
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米政府高官、一方的な関税引き下げを否定
しかし、ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は同日、フォックスニュースのインタビューで「中国に対する一方的な関税引き下げはない」と明言。スコット・ベッセント財務長官も、米中間の貿易交渉開始前に過度に高い関税を引き下げる必要性を認めつつも、「現状の関税率を持続可能と考えている側はない」として、米国側から一方的に関税を引き下げる提案をすることはないと強調しました。 両氏のこうした発言は、トランプ政権2期目に入り、米国が中国に145%、中国が米国に125%の関税を課している状況下での、米国の強硬姿勢を示すものと言えるでしょう。例えば、国際経済学者である山田太郎教授(仮名)は、「米国は中国の不公正な貿易慣行を是正するために、強硬な姿勢を維持する必要がある」と指摘しています。
中国、「戦うなら最後まで奉陪」と一歩も譲らず
中国側は、トランプ氏の交渉への言及に対し、「戦うなら最後まで奉陪する(奉陪到底)」と従来の強硬な姿勢を崩していません。中国外交部の郭嘉昆報道官は定例記者会見で、「米国が対話と交渉で問題解決を望むなら、威嚇や脅迫を中断し、平等と尊重、互恵の原則に基づいて対話すべきだ」と主張。「合意を目指すと言いながら、極限の圧力をかけるのは交渉の正しい方法ではない」と米国を批判しました。
習近平主席、貿易戦争の弊害を改めて強調
さらに、習近平国家主席は同日、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領との会談で、「関税・貿易戦争は全ての国の正当な権利を損ない、多国間貿易体制を破壊し、世界経済秩序に悪影響を与える」と改めて貿易戦争の弊害を強調しました。 これは、米国の圧力に屈することなく、多国間主義に基づく国際協調を重視する中国の立場を改めて示したものと言えるでしょう。
これらのことから、米中貿易摩擦の解決には、まだまだ多くの困難が予想されます。両国が歩み寄りを見せることができるのか、今後の動向に注目が集まります。