静岡県伊東市の田久保真紀市長が、学歴詐称の指摘を受け一度表明した辞職意向を撤回すると発表した記者会見から一夜明けた1日、市役所には市民からの批判や苦情の電話、メールが殺到し、対応に追われる事態となりました。この市長の続投表明は、市民の間で大きな波紋を呼んでいます。
学歴詐称問題で続投を表明する伊東市 田久保真紀市長の記者会見
市役所に殺到する抗議の声と市長の動向
市が発表した情報によると、田久保市長が続投の意向を表明した会見の後、1日午後4時までに市に寄せられた電話やメールは約1100件に上りました。そのほとんどが「なぜ辞めないのか」といった辞職撤回に対する批判の声だったといいます。田久保市長が自身の学歴について「卒業ではなく除籍だった」と明らかにした7月2日以降に寄せられた電話・メールの総数は、すでに4200件を超えています。
市民からの強い反発がある中で、田久保市長は1日午前中に登庁し、表敬訪問を受けたり、伊東駅前広場整備計画に関する住民説明会に出席するなど、通常の公務をこなしました。
市幹部からの辞職要求と市長の姿勢
市民からの批判が渦巻く一方で、市内部からも市長に対する辞職要求が出ていたことが明らかになりました。市の近持剛史企画部長は1日、報道陣に対し、田久保市長の続投会見の直前に市役所で開かれた会議で、市の幹部職員が総意として田久保市長に辞職を求めたと明かしました。近持部長は、「(田久保市長は)辞職して出直し選挙をすると言っていた。その約束を果たしてほしいと訴えたが、市長の結論は変わらなかった」と、その時のやり取りを振り返りました。
市民・関係者の反応と法的措置の動き
田久保市長の辞職撤回表明に対し、市民からは厳しい声が上がっています。田久保市長に対する公職選挙法違反(虚偽事項の公表)容疑の告発状を伊東署に提出した市内の建設会社社長(58)は、「自己保身でしかなく、市民の民意を全く理解できていない。市長が自ら辞職しないのであれば、法的に裁いてもらうしかない」と語気を強め、法的措置をさらに追求する姿勢を示しました。
田久保市長の一問一答:辞職撤回と学歴問題の釈明
7月31日に行われた記者会見での田久保市長と報道陣との主な質疑応答は以下の通りです。
――7月7日に表明した辞職の意向を撤回するということか。
市長:そのように理解していただいて結構です。市長としての任期、いわゆる皆様からの負託が許される限りは、元々の約束である「新図書館建設事業の中止」や「伊豆高原メガソーラー計画の完全白紙撤回」について最善の努力をしていきたいと考えています。
――大学を卒業していないのに偽の卒業証書とみられる文書を提示した。その説明を果たしていない。当初、ご自身で言ったように、辞職後に再び立候補して民意を問うべきではないか。
市長:(大卒と記載された市広報誌が発行された後の)6月28日に初めて大学を除籍となっているということを知りました。その事実をもってご判断をいただきたい。
田久保市長は、偽の卒業証書とみられる文書の提示については直接的な説明を避け、自身が「除籍」の事実を知った時期について言及することで、学歴問題への認識が遅かったことを示唆しました。