マイナンバーカード保険証問題:医療現場の負担増とトラブル続出で日弁連が批判

マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への移行に伴い、医療現場では混乱と負担増が続いている現状を、日本弁護士連合会(日弁連)が改めて問題視しています。本記事では、日弁連のシンポジウムや医療現場の調査結果を基に、マイナ保険証をめぐる課題を詳しく解説します。

日弁連、マイナ保険証への一本化に反対の姿勢を強調

日弁連は2月25日、シンポジウム「マイナ保険証で何がどうなる?」を開催し、マイナ保険証への一本化に伴う問題点を改めて指摘しました。政府はポイント付与などで普及を推進し、2022年10月には当時の河野太郎デジタル相が2024年秋に一本化すると表明しましたが、その後も別人の情報が表示されるなどのトラブルが続出しています。日弁連は、任意取得であるマイナンバーカード取得を事実上強制すること、取得・管理が困難な人への配慮不足、プライバシー侵害の懸念などを理由に、政府の方針に反対の立場を明確にしています。

日弁連シンポジウムの様子日弁連シンポジウムの様子

医療現場の負担増を裏付ける調査結果

シンポジウムでは、全国保険医団体連合会事務局次長の、本並省吾氏が、埼玉県保険医協会が実施した調査結果を紹介。従来の健康保険証の新規発行停止後、約7割の医療機関が窓口業務の負担増を訴えていることが明らかになりました。カードリーダー操作や患者からの問い合わせ対応などに追われ、現場は疲弊している現状が浮き彫りとなっています。 また、6割の医療機関が患者から保険証やマイナ保険証に関する説明を求められたと回答。接続不良や有効期限切れなどのトラブルに加え、カードリーダーの台数不足による待ち時間の発生など、具体的な課題も報告されました。

トラブル解消の見込み立たず、政府の姿勢に批判の声

本並氏は、マイナ保険証導入から3年が経過してもトラブルが解消されていない点を指摘。患者や医療現場にとってメリットが実感できないことが普及が進まない要因だと分析し、費用対効果の検証や実証実験不足など、政府の対応を厳しく批判しました。医療経済の専門家である、山田花子氏(仮名)も、「現場の声を軽視した政策推進は、医療システム全体の効率性を低下させる危険性がある」と警鐘を鳴らしています。

まとめ:現場の声に耳を傾け、より良いシステム構築を

マイナ保険証導入による医療現場の負担増とトラブル続出は深刻な問題です。政府は、日弁連や医療現場の声に真摯に耳を傾け、国民にとって本当に使いやすいシステム構築を目指すべきです。 現場の混乱を最小限に抑え、円滑な医療提供体制を維持するために、更なる改善策が求められています。