トランプ前大統領のエネルギー政策:同盟国への負担増大か?「アメリカ・ファースト」が生んだ波紋

就任100日を迎えたトランプ前大統領の「アメリカ・ファースト」を掲げたエネルギー政策は、世界各国に大きな波紋を広げました。本記事では、その政策が及ぼした影響、特に同盟国への負担増大について詳しく解説します。

アメリカ国内からの反発:LNG運搬船規制

フィナンシャル・タイムズによると、米国石油協会(API)は、トランプ政権が発表した「中国の海洋・物流・造船部門支配力強化に対するUSTR301条措置」に反対する書簡を提出しました。この措置は、米国産液化天然ガス(LNG)の一定量を米国で建造されたLNG運搬船で輸出することを義務付けるもので、石油業界からは「LNG生産業者が規定を守ることは不可能」との声が上がっています。年間340億ドル規模の米国のLNG輸出産業への影響が懸念され、米天然ガス供給協会もUSTRに規制免除を要求したと報じられています。

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韓国輸出入銀行のヤン・ジョンソ首席研究員は、「もしこの規制が発動すれば、既存の需要がカタールなど他国製品に代替されるだろう」と指摘しています。この規制は、世界最大のLNG輸出国であるアメリカの輸出戦略に大きな影響を与える可能性があります。

アラスカLNGプロジェクト:同盟国への負担

韓国、日本、台湾などに事業参加を要求しているアラスカLNGプロジェクトも、同盟国への負担増大につながるとの批判が出ています。アラスカ北部のガス田で採掘した天然ガスを輸送・液化して輸出するこの事業は、初期事業費だけで最小450億ドル(約6兆4273億円)と試算されています。韓米2+2通商協議でも主要議題となったこのプロジェクトは、同盟国に巨額の投資を迫るものとなっています。

韓国のジレンマ:投資余力と事業の不確実性

韓国政府は検討を開始したものの、慎重論も根強いのが現状です。凍土による工事の遅延やエネルギー価格の変動による収益性悪化など、リスクが大きいことが懸念されています。過去にはBPやコノコフィリップス、エクソンモービルといった世界的企業もこの事業から撤退しており、事業の不確実性を物語っています。

さらに、韓国企業の投資余力も乏しい状況です。韓国ガス公社の負債比率は高く、民間企業も投資に難色を示しています。ソウル科学技術大学未来エネルギー融合学科のユ・スンフン教授は、「トランプ政権が世界的企業がいずれもあきらめた事業を同盟国に要求した」と指摘し、韓国は精密な妥当性調査が必要だと主張しています。

まとめ:アメリカ・ファーストが生んだ課題

トランプ前大統領の「アメリカ・ファースト」に基づくエネルギー政策は、LNG運搬船規制やアラスカLNGプロジェクトなどを通じて、同盟国に大きな負担を強いる結果となりました。これらの政策は、国際的なエネルギー市場の動向にも影響を及ぼす可能性があり、今後の展開が注目されます。