ビジネスケアラーという言葉をご存知でしょうか？高齢化が進む日本では、働きながら家族の介護を担うビジネスケアラーが増加の一途を辿っています。今回は、ビジネスケアラー支援の現状と、企業が果たすべき役割について深く掘り下げていきます。
ビジネスケアラー増加の現状と経済への影響
少子高齢化社会の到来により、ビジネスケアラーの数は増加傾向にあります。経済産業省の試算によると、2030年にはビジネスケアラーは約318万人に達し、介護と仕事の両立による生産性低下や介護離職による経済的損失は、なんと約9兆円にものぼると予測されています。（※経済産業省 第13回経済産業政策新機軸部会「新しい健康社会の実現」（2023年））。
この深刻な状況に対し、企業によるビジネスケアラー支援の必要性が叫ばれています。
ビジネスケアラーイメージ
企業にとってのビジネスケアラー支援の重要性
日本総合研究所の石田遥太郎氏（シニアマネジャー）は、ビジネスケアラー支援の重要性を強調しています。「45〜49歳は企業の中核を担う世代。特に中小企業では、経営層の右腕として活躍するケースも多い。彼らが介護と仕事の両立で疲弊し、離職してしまうことは、企業にとって大きな損失」と指摘しています。
介護は個人の問題ですが、企業が適切な支援を提供しなければ、優秀な人材を失うリスクが高まります。
中小企業におけるビジネスケアラー支援の課題
特に中小企業では、人材不足や資源の制約から、ビジネスケアラー支援に十分なリソースを割けないという課題があります。しかし、支援策を講じなければ、生産性低下や離職による更なる人材不足を招き、企業の存続さえ危ぶまれる可能性も。
ビジネスケアラー支援の成功事例
一方で、ビジネスケアラー支援に積極的に取り組む企業も存在します。例えば、フレックスタイム制や在宅勤務制度の導入、介護休暇の取得促進、介護に関する相談窓口の設置など、様々な取り組みが効果を上げています。
ある企業では、介護相談窓口を設置したことで、従業員の不安が軽減され、仕事への集中力が高まったという事例も報告されています。
相談窓口のイメージ
企業の未来のためのビジネスケアラー支援
ビジネスケアラー支援は、もはや企業にとって「あれば良い」ものではなく、「なくてはならない」ものになりつつあります。企業は、従業員の多様なニーズに対応し、働きやすい環境を整備することで、優秀な人材の確保と企業の持続的な成長を実現できるでしょう。
ビジネスケアラー支援は、企業の未来への投資と言えるのです。
