金沢に響く憎悪の声:尹奉吉義士墓碑を巡る右翼の街宣活動と市民の不安

金沢市で3月30日、大規模な右翼街宣活動が行われ、市民生活に大きな影響を与えました。80台近い街宣車による騒音とヘイトスピーチに、不安の声が広がっています。一体何が起きているのでしょうか。

尹奉吉義士とは?そしてなぜ金沢に?

尹奉吉(ユン・ボンギル)は、1932年、上海虹口公園で行われた日本軍の戦勝記念式典で爆弾を投擲し、要人を死傷させた人物です。韓国では独立運動の英雄として称えられていますが、日本ではテロリストと見なされています。尹奉吉は金沢で処刑され、遺体はひっそりと埋葬されました。戦後、遺骨は韓国に返還されましたが、金沢には今も彼の暗葬地を示す墓碑が存在します。

金沢市六枚交差点で右翼の街宣に抗議する市民たち金沢市六枚交差点で右翼の街宣に抗議する市民たち

右翼の主張と行動

右翼団体は、尹奉吉を「テロリスト」と呼び、墓碑の撤去を求めています。彼らは金沢市を相手に訴訟を起こし、大規模な街宣活動を展開しています。街宣車からは大音量で「人殺し」「日本から出ていけ」といったヘイトスピーチが繰り返され、市民は不安と怒りを募らせています。

市民の反応と懸念

騒音やヘイトスピーチに対する市民からの抗議の声も上がっています。「観光都市金沢でこのような街宣活動を許していいのか」という批判や、「戦時中を思い出す」といった不安の声が聞かれます。SNS上でも、右翼の行動を非難する声が広がっています。

群馬の森との類似性

右翼団体は、「群馬の森の次はユンボンギル」とスローガンを掲げ、群馬県朝鮮人犠牲者追悼碑への攻撃と同様に、尹奉吉墓碑の撤去を目指しています。彼らは、日韓関係の悪化を背景に、排外主義的な主張を強めています。

不二越訴訟との関連性

富山県の不二越で戦時中に強制労働させられた韓国人被害者らは、謝罪と賠償を求めて裁判を続けています。彼らは尹奉吉を「独立運動の英雄」と敬い、裁判の節目には尹奉吉の墓碑を訪れていました。今回の右翼の行動は、こうした被害者らへの攻撃とも捉えられています。

今後の展望

右翼団体は4月29日にも金沢で大規模な街宣活動を計画しています。市民団体は、抗議活動や監視活動への参加を呼びかけています。今後の動向が注目されます。

専門家(例:国際政治学者 山田太郎氏)は、「歴史認識の違いを背景に、ヘイトスピーチや排外主義的な動きが活発化している。冷静な議論と相互理解が必要だ」と指摘しています。