専業主婦vsワーママ?ドラマ「対岸の家事」が問いかける多様な生き方

専業主婦とワーキングマザー、それぞれの選択に潜む葛藤や喜びをリアルに描いたTBSドラマ「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」。第5話では、学生時代の経験、いわゆる「ガクチカ」を軸に、主人公・詩穂(多部未華子)と中谷(ディーン・フジオカ)の過去が明らかになり、現代社会における多様な生き方を問いかける内容となっています。今回は、ドラマの見どころを深掘りしつつ、それぞれの選択が持つ意味について考えてみましょう。

過去の呪縛と向き合う二人

過去の体験格差と向き合う

詩穂と中谷、一見対照的な二人ですが、実は共に親の都合で学生時代の貴重な経験を奪われた過去を持つという共通点があります。詩穂は父親の都合で部活を辞めざるを得なくなり、中谷は母親の過剰な期待によって勉強漬けの毎日を強いられました。

altalt

こうした過去の経験が、現在の二人の価値観に大きな影響を与えている様子が丁寧に描かれています。特に、中谷が母親に電動泡立て器を振り落とされる回想シーンは、視聴者の心に深く刻まれる印象的な場面と言えるでしょう。教育評論家のA氏も、「親の過干渉が子どもの自主性を奪う危険性を示唆する象徴的なシーン」と指摘しています。

専業主婦とワーママ、それぞれの葛藤

専業主婦の詩穂は、娘・苺に十分な経験を与えられているのかという不安を抱え、ワーママの礼子(江口のりこ)は、仕事と育児の両立に葛藤する様子が描かれています。それぞれの選択にメリット・デメリットがあることを示唆し、どちらが良い悪いではなく、個々の状況や価値観に合った選択が大切であることを伝えています。

altalt

料理研究家のB氏も、「家庭料理を通して、子どもとのコミュニケーションを深めることも大切な経験の一つ。専業主婦だからこそできることもある」と語っています。

レモンをレモネードに変える力

中谷は詩穂との会話を通して、過去のつらい経験も未来への糧となること、そして「許せない」という感情を抱えたままでも良いことに気づきます。“When life gives you lemons, make lemonade”という言葉が象徴するように、困難を乗り越え、前向きに生きていく力強さを示しています。

過去の経験を武器に

詩穂は中谷に「体験できなかったっていうのも一つの体験で、それだっていつかは武器になるかも」と語りかけます。この言葉は、中谷だけでなく、多くの視聴者の心に響くメッセージではないでしょうか。過去の経験を肯定的に捉え、未来を切り開く力に変えていくことの大切さを教えてくれます。

忍び寄る影と今後の展開

平穏な日常を送る詩穂に、不穏な影が忍び寄り始めます。謎の手紙の送り主は誰なのか、今後の展開に目が離せません。

「対岸の家事」は、単なるホームドラマではなく、現代社会における多様な生き方や家族のあり方を問いかける社会派ドラマとしての側面も持ち合わせています。視聴者それぞれが、登場人物たちの葛藤や成長を通して、自分自身の生き方について考えるきっかけとなる作品と言えるでしょう。