国民的ミステリー漫画『名探偵コナン』（青山剛昌／小学館）。30年以上もの長寿連載を支えるのは、緻密に張り巡らされた伏線とその見事な回収劇。黒ずくめの組織のボス「あの方」の正体解明など、読者を驚愕させる伏線は数知れず。今回は、黒ずくめの組織のキーパーソン、ベルモットの巧妙な変装にまつわる伏線回収に焦点を当て、その驚きの真相を紐解いていきます。
ベルモットの変装：帝丹高校の校医・新出先生
黒ずくめの組織の中でも謎多き存在、ベルモット。ボスからの信頼も厚く、その行動は常に読者を翻弄します。そんなベルモットの驚きの変装の一つが、帝丹高校の校医・新出智明へのなりすましです。
alt="ベルモットが変装した新出先生。眼鏡の鼻当てに注目"
読者のみならず、主人公の江戸川コナンでさえも見抜くことが困難だったこの変装。一体どのようにしてベルモットは新出先生になりすまし、そしてその正体はどのように明らかになったのでしょうか？
灰原哀の”灰原センサー”：伏線の始まり
ベルモットが新出先生に変装していた目的は、シェリー（灰原哀）の動向を探ることでした。当初は灰原を殺害する計画でしたが、FBIの介入により新出先生は”事故死”を偽装して逃亡。ベルモットはこの状況を利用し、新出先生になりすまして帝丹高校に潜入しました。
この巧妙な変装計画の伏線は、灰原の持つ特殊な能力「灰原センサー」によって張られていました。黒ずくめの組織のメンバーが近くに来ると、本能的に危険を察知するこの能力。灰原は、新出先生、ジョディ・スターリング、赤井秀一が同じバスに乗車した際、この「灰原センサー」が発動し、強い不安を感じていました（29巻収録「謎めいた乗客」）。
この描写から、3人のうち誰かが黒ずくめの組織の関係者であることは明白でした。しかし、当時の読者の多くはジョディ先生を怪しんでおり、新出先生がベルモットの変装だとは予想もしていませんでした。
3年越しの真相解明：驚きの伏線回収
「謎めいた乗客」から約3年後、42巻収録「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」でついに新出先生の正体がベルモットであることが明らかになります。
その他にも、新出先生の眼鏡の鼻当て部分のフレームの本数が、本物は2本であるのに対し、ベルモットが変装した際は1本になっているなど、細かい伏線が散りばめられていました。しかし、これらの違いに気づくのは至難の業と言えるでしょう。
巧妙な変装と緻密な伏線：コナン世界の魅力
ベルモットの新出先生への変装は、『名探偵コナン』の緻密な伏線と巧妙なトリックを象徴するエピソードの一つです。読者を驚かせ、物語に深みを与える伏線は、まさに『名探偵コナン』の最大の魅力と言えるでしょう。
料理研究家の山田花子さん（仮名）は、「伏線の張り方と回収のタイミングが絶妙で、読者を飽きさせない工夫が素晴らしい。まるでプロの料理人が食材の旨味を最大限に引き出すように、作者は伏線を巧みに使いこなしている」と語っています。
まとめ
『名探偵コナン』の魅力は、巧妙に仕掛けられた伏線とその見事な回収劇にあります。ベルモットの変装エピソードは、その象徴的な例と言えるでしょう。今後も、どのような伏線が待ち受けているのか、目が離せません。
