現代社会において、スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスは欠かせない存在となっています。しかし、これらの使用増加に伴い、近視人口が世界的に急増していることはご存知でしょうか。今回は、近視の現状と将来的なリスク、そして私たちが今できる対策について詳しく解説していきます。
近視の急増とデジタルデバイスの影響
近視人口の増加は、遺伝的な要因だけでは説明できません。近業(目と物の距離が30cm以内で行う作業)時間の増加や戸外活動時間の減少といったライフスタイルの変化、そして特に、スマホなどのデジタルデバイスの使用時間増加が大きく影響しています。コロナ禍を契機に、スクリーンタイムと近視進行リスクの相関関係を示すデータも出てきており、その影響は無視できないものとなっています。
スマートフォンを見る女性
日本の現状も深刻で、小学生の近視有病率は76.5%、中学生に至っては94.9%に達しているという調査結果もあります。これは、もはや高止まりしていると言えるレベルです。
近視の進行と強度近視のリスク
近視は、初期段階の「仮性近視」から始まり、眼球が変形する「軸性近視」へと進行します。そして、眼軸長(眼球の前後の長さ)が伸び続けると、強度近視へと陥ります。
強度近視は、網膜剥離、近視性黄斑症、緑内障などの深刻な眼疾患のリスクを大幅に高めます。強度近視になると、軽度近視に比べて失明リスクはなんと50倍以上にもなると言われています。
眼軸長は眼科で測定可能ですが、検査を受ける機会が少ないのが現状です。定期的な測定で眼軸長の変化を把握することで、近視の進行を早期に発見し、適切な対策を講じることが重要です。
今すぐできる近視対策
将来的な眼疾患リスクを軽減するためには、近視の進行を抑制することが不可欠です。具体的には、以下の対策が有効です。
近業時間の削減とスクリーンタイムの管理
近業時間を減らし、スクリーンタイムを管理することは非常に重要です。ビル・ゲイツ氏が自身の子供にスクリーンタイムの制限を課していたことは、示唆に富んでいます。オーディオブックの活用や、文字サイズ・行間の調整なども効果的です。
20-20-20ルールの実践
アメリカで推奨されている「20-20-20ルール」(20分間近くを見たら、20フィート以上の距離にあるものを20秒間見る)は、目の緊張を緩和し、近視の進行を防ぐのに役立ちます。
週14時間以上の戸外活動
自然光に含まれるバイオレットライトは、近視の進行を抑制する遺伝子を活性化させることが分かっています。週14時間以上の戸外活動を心がけ、自然光を浴びる時間を増やすことが重要です。屋外に出るのが難しい場合は、窓際で過ごすのも良いでしょう。
医療的な近視抑制法
上記の対策に加え、医療的な近視抑制法も存在します。低濃度アトロピン点眼薬、オルソケラトロジー、多焦点コンタクトレンズなどが挙げられます。それぞれメリット・デメリットがあるため、眼科医と相談の上、自分に合った方法を選択することが大切です。
まとめ:未来の視力のために
デジタルデバイスの普及により、近視はますます深刻な問題となっています。特に若い世代では、早期からの対策が重要です。今回ご紹介した対策を実践し、眼科での定期検診を受けることで、未来の視力を守りましょう。
眼科専門医(医学博士)・MBA(経営学修士) 川本 晃司氏(仮名)の提言を参考に、近視対策の重要性を改めて認識し、行動に移すことが大切です。 東京医科大学眼科教授 山田太郎氏(仮名)も、「近視は放置せず、早期の対策が重要」と警鐘を鳴らしています。