【ワシントン=黒瀬悦成】来年11月の米大統領選に向けた民主党の第5回候補者討論会が20日、南部ジョージア州アトランタで開かれた。ウクライナ疑惑をめぐるトランプ大統領に対する下院の弾劾調査を受け、参加した10人の候補者からは弾劾調査を支持する発言が相次いだ。
エリザベス・ウォーレン上院議員(70)は、早くからトランプ氏の弾劾を唱えてきた立場から「誰も法の適用を免れ得ないとの原則を確立する必要がある。私たちは憲法上の責任に応える必要がある」と訴えた。
中西部インディアナ州サウスベンド市のピート・ブティジェッジ市長(37)は「弾劾をめぐる憲法上の手続きは政治や選挙運動と無縁でなくてはならない。しかし、大統領の行為は政治と選挙絡みだ」と強調し、トランプ氏の疑惑を追及するのは議会の責務であるとの認識を示した。
民主党の候補指名争いは、初戦となる2月3日の党員集会が開かれるアイオワ州で穏健派のブティジェッジ氏が急速に人気を集め、同州での支持率調査で首位に躍り出た。
これに対し、全国世論調査では依然「本命」と見なされている同じ穏健派のバイデン前副大統領(77)は、息子がウクライナ企業役員として不適切な行動をしていたと保守勢力から攻撃され、売り物にしてきた「トランプ氏に最も勝てそうな候補」の立場が揺らぎつつある。
この日の討論会でもバイデン氏は、マリフアナの非合法化への慎重姿勢を他候補に揶揄(やゆ)されるなど他候補の標的となる場面が目立ち、精彩を欠いた。
一方、左派のウォーレン氏やバーニー・サンダース上院議員(78)は、最近では支持が頭打ち傾向にある。指名争いは、これら有力4候補による競り合いの様相が強まりつつある。