【東エルサレム=福島利之】イスラエル当局は8日、占領する東エルサレムで国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校6校に武装した警察官を派遣し、強制的に閉鎖した。6~15歳の児童・生徒約800人が学校から追い出された。英国は8日、学校の閉鎖を非難する声明を出し、独仏や日本などが非難声明に加わった。
東エルサレムのシュアファト難民キャンプの女子学校には8日午前9時頃、重武装した10人ほどの警察官を伴った教育省とエルサレム市の職員が立ち入りした。学校のシャーヘル・アルカム事務長(58)によると、警察官は学校の職員を拘束した上で、教員や児童・生徒に速やかに学校から出るよう命令したという。教室でアラビア語を勉強していた3年生のカマル・ハッダードさん(9)は「怖くて教室の皆と大声で泣いて叫びました」と振り返った。
イスラエル当局は、難民キャンプの他の2校のほか、シルワーンなどの計6校にも立ち入り、門に「閉鎖」を命じる紙を貼った。
イスラエルは1月、UNRWAの国内での活動を禁止する法律を施行し、4月に学校の閉鎖命令を出していた。教育省はUNRWA以外の学校への転校を促すが、難民キャンプにはUNRWAの学校しかない。キャンプの外に出るには検問所を通過し、遠くの学校に通う必要がある。アルカム事務長は「オンラインでの教育の継続を模索しているが、インターネットの環境も悪い」と漏らした。
UNRWAのジョナサン・フォウラー報道官は「イスラエル当局の行為は子供たちにトラウマを与える。イスラエルは意図的にパレスチナの子供たちから教育の機会を奪っている」と非難した。