記者は万博が大好きだ。世界各地の文化に触れる貴重な機会を逃す手はないと思っている。GWの2日間通って実感した、「待ち時間」や「駐車場」のリアルを正直にお伝えしたい。
* * *
■こんなスピードで入場できるなんて
「混雑がひどい」「待ち時間が長すぎる」と言われる大阪・関西万博。
だが、前回の「愛知万博(2005年日本国際博覧会)」と比べると、これらの問題は大きく改善されていたように思う。
20年前、記者はGWと夏休みに家族で、のべ1週間ほど愛知万博を訪れた。予約入場システムは導入されていなかったため、日の出前から大勢の人がゲート前に並んだ。入場のピーク時にはゲート前は大混雑。会場になかなか入れないどころか、交通機関のリニモ・愛知環状鉄道に乗り切れない人々が主要駅から溢れた。
大阪・関西万博は、当たり前かもしれないが、それとは隔世の感がある。大阪メトロは混雑時には2分半間隔で万博会場最寄りの夢洲(ゆめしま)駅まで地下鉄を運行しており、会場へのアクセスはいたってスムーズ。チケットに来場日時の枠が設定されているうえ、係員の手際がよく、20~30分待ちで入場できた。周囲から、「これほど多くの人がこんなに速いスピードで入場できるのはすごい」と、感嘆の声が漏れたほどだ。
帰りもスムーズだった。夜9時すぎ、「ドローンショー」の終了とともに来場者が一斉に駅に向かうが、人の流れが止まることはなく、輸送力の高さに感心した。
■愛知万博から大進歩「待ち時間」問題
待ち時間も大きく違う。愛知万博では、人気パビリオンは3時間待ちが当たり前だった。最長6時間以上も待ち行列が延びた。
大阪・関西万博では、長い待ち行列ができた米国パビリオンでも約2時間で入場できた。中小のパビリオンやブースなら30分以下で入場できるところも少なくない。
ただ、「並ばない万博」を目指して設定した来場日時の予約枠が事実上の入場制限となってしまい、来場者数が1日平均の想定である15万人に達した日はまだない。
万博協会は順次、予約枠を拡大しているが、来場する側としては、これ以上の混雑はうれしくないだろう。
■大屋根リングの下は日影、給水スポットも十分
熱中症対策も進んだ。愛知万博では313件の熱中症患者が発生した。ウォーターサーバーやミストが設置されたが、そもそも日陰が少なかった。
大阪・関西万博では、会場の主動線である大屋根リング下の広い通路は日陰で、心地よい海風を感じながら移動できた。軒下に置かれたベンチの数は十分で、混雑時でも座れた。給水スポットが各所にあり、飲み水に困ることはなかった。