【ニューヨーク=金子靖志】米国のトランプ政権は22日、名門ハーバード大に対し、留学生の受け入れに必要な認定を取り消すと発表した。同大は新たな留学生を受け入れられず、在籍中の留学生も、滞在資格を維持するためには他大学への転校が必要だとしている。日本人260人を含む多くの留学生に影響が及ぶ恐れがある。
トランプ政権は反ユダヤ主義対策が不十分だとして3月以降、名門大への資金拠出を相次いで凍結するなどして圧力を強め、ハーバード大も4月に22億ドル(約3200億円)の補助金が凍結されていた。同大は反発し、政権を提訴するなど対立が深まっていた。
政権は特定の大学の政治的な対応を理由に、留学生の受け入れプログラムの認可を取り消す極めて異例な措置に出た。財政圧力を段階的に強め、大学への統制を強化する狙いだ。
ハーバード大によると、在籍する留学生や外国籍研究員は、140以上の国・地域から計1万158人に上り、このうち日本人は260人。留学生は約6800人で、全体の約27%を占めている。学部生の年間授業料は約5万9000ドル(約850万円)で、大学財政を支える重要な柱だ。今回の措置は大学側にとって大きな痛手となる。
認定取り消しの理由について、国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官は声明で「ハーバード大がキャンパス内で反ユダヤ主義を助長したことや、中国共産党と協調した責任を問うためだ」と説明。認定を再び得るには、留学生が関わった抗議デモなど5年間の記録提出が必要だとし、「全ての大学と学術機関に対する警告だ」と強調した。
ハーバード大は政権の対応を非難した上で「海外の学生と研究者を引き続き受け入れていくよう力を尽くす」と訴え、措置の取り消しを求めて政権を提訴した。