2025年5月19日に発表されたコメの平均価格は、5キロ当たり4268円と最高値を更新。19円下がったら54円値上がりと、コメの価格に一喜一憂する状況が続きます。放出された備蓄米はどうなったのか?価格の高止まりが続く背景は?読売テレビ・上野巧郎記者の解説です。
■スーパーなど小売業者には約7%…目詰まり続く備蓄米の流通
コメの価格を少しでも下げてほしい…そんな国民の願いのカギを握るのは、やはり『備蓄米』です。農水省による最新のデータでは、国から放出された備蓄米(1・2回分で約21万トン)は、JAなどの集荷業者には約98%が行き渡りましたが、その先の卸売業者には約26%、さらにスーパーなどの小売業者には約7%と、目詰まりしている状況は変わっていません。
流通経済研究所・折笠俊輔主席研究員は、「備蓄米の流通が円滑にならないと、価格は変わらない。国が輸送コストを補助するなど、対策が必要」との見解を示しています。そして、補助に必要な財源は、実は目処がついています。
備蓄米放出の仕組みを見ると、入札とはいえ高い価格の業者が落札するオークションのような仕組みで、国は安い価格で仕入れたコメを高く買ってもらっています。自民党・小野寺政調会長から「国が儲けてどうすんだ」という発言がありましたが、結果として儲けているため、そのお金を輸送コストに使えるのではないかといわれています。
■小売で奪い合い!?コメの店頭価格なぜ高い?
備蓄米が流通すれば比較的安いコメが出回るので、スーパーでのコメ平均価格も下がっていくとみられます。その一方、もう一つ考えるべきは、これまで正規の流通ルートに乗っていた単一銘柄米などのコメです。そちらが下がらないと、全体としての価格は下がっていきません。そんな中、もともと流通していた正規の単一銘柄米などの奪い合いが起きています。
流通経済研究所・折笠氏によると、大手飲食チェーン店などの場合、1年分のコメをまとめて発注する大量・長期契約を結んでいて、JA全農など集荷業者から60キロ当たり平均2万7102円で仕入れています。ただ、スーパーなどは少量・都度契約で在庫が足りなくなってから発注するため、今の価格が反映されたスポット価格で60キロ当たり平均4万7420円。大手飲食チェーン店などと比べると、倍以上の価格で取り引きすることになります。