韓国保守、強まる宗教色 キリスト教右派が「陰の支配者」に 与党取り込み拡大


【写真】韓国政界の「影の支配者」福音派牧師「私の助けなしには大統領になれない」

■集会費用1回1億円

週末のソウル市中心部、光化門広場前。ソウル市内を周遊する韓国版「はとバス」が、無数の太極旗がはためく集会の脇を通り過ぎていく。2階建てバスに乗った外国人観光客にとって、数万人規模の保守系支持者が集う「太極旗集会」は、今やお決まりの撮影スポットとなっている。

北朝鮮への融和政策を進めた文在寅(ムンジェイン)政権下の2019年以降、毎週の太極旗集会を主導してきたのは、プロテスタントの所属教団から除名された異端の牧師、全光焄(チョングァンフン)氏だ。「北朝鮮による連邦制国家の設立、朝鮮半島統一が目前に迫っている」。全氏が北朝鮮の脅威を強調すると、参加者らは両手を挙げて「アーメン」と応じた。

地方住民のバスでの動員、大型ビジョンや簡易トイレの設置…。全氏は産経新聞のインタビューで、集会の費用について「1回につき10億ウォン(約1億円)かかる」と明かした。信者らの献金に加えて、クレジットカード事業による収入なども太極旗集会を下支えする。

抜群の資金力と動員力を誇る全氏を、保守系与党「国民の力」も無視できない。「牧師は右派陣営を天下統一した」。23年春、全氏を称賛する発言が問題となり、党最高幹部職を辞した国会議員は現在、大統領選の党公認候補・金文洙(キムムンス)陣営の秘書室長を務める。金候補も、過去に全氏の集会で演説するなど、強固な関係を誇ってきた。

「尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領とは就任前から毎週通話していた」「私が金文洙を閣僚(雇用労働相)に起用するよう推薦した」。全氏は取材に対し、大統領に直言する「影の支配者」としての影響力をあけすけに語った上で、こううそぶいた。「われわれの勢力は大きい。私の助けなしには、韓国の大統領にはなれないということだ」

■カリスマ塾講師参加の宗教団体も拡大



Source link