トレイシー・ウッドラフは、マイクロプラスチックやプラスチックに関連する化学物質、そして、これらの物質が健康に与える影響を主に研究する科学者だ。
彼女は、自身の子どもがマイクロプラスチックに触れる機会を減らすために実践している方法について、Business Insiderに明かしてくれた。
衣服は天然繊維でできた古着を選び、食器は食洗機を使わず手洗いし、ファーマーズマーケットで食材を調達しているという。
この記事は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のリプロダクティブ・ヘルスおよび環境プログラム(Program on Reproductive Health & the Environment:PRHE)のディレクターを務めるトレイシー・ウッドラフ(Tracey Woodruff)へのインタビューをもとに構成されている。彼女は、マイクロプラスチックや有毒な化学物質が、生殖能力や子どもの発育に与える影響について研究している。なお、以下の内容は長さや明確さを考慮して編集されている。
【全画像をみる】マイクロプラスチックの専門家が日常生活で実践する、有害な化学物質から家族を守る方法
私は長い間、生活の中で使うプラスチック製品を減らすべく努力してきた。その経験から、これは一挙に解決できる問題ではなく、たゆまず取り組むべきプロセスだと考えている。
マイクロプラスチックは、大気中や食べ物、さらに水中にも存在する。呼吸や食事の際に取り込んでいる可能性があるほか、これに含まれている化学物質が肌から吸収されることもあり得る。
私の子どもたちがまだ赤ん坊だったころは、科学はまだこうした実態をつかみ切れていなかった。私もプラスチック製の哺乳びんを使っていた。今なら、ガラス製のものを使うようお勧めする。
私が育児をしていたのは、名のある科学者たちや科学界が、「これは驚きだ、これらのプラスチック製品に含まれる化学物質は、子どもの発育に害を及ぼすおそれがある」と警告する前の話だ。
マイクロプラスチックの憂慮すべき健康リスク
私は、マイクロプラスチックおよびこれが健康に与える影響に関する研究の系統的レビューを共同執筆した経験がある。その際には、生殖機能、呼吸器、さらに胃や小腸、大腸などの消化器という3つの領域がレビューの対象となった。
その結果、マイクロプラスチックには、生殖機能、特に精子に関する悪影響のリスクを増大させる疑いがあることがわかった。また、慢性の炎症や、肺がんと大腸がんのリスクを増している可能性もある。マイクロプラスチックがこれらの健康問題を引き起こす要因だと確定したわけではないが、その疑いがあるということだ。
さらに、プラスチックには化学物質が含まれている。その一つであるフタル酸エステルは、男性ホルモンであるテストステロンの作用を阻害し、胎児の生育に影響を与えるおそれがある。
プラスチックの生産高は、2060年までに3倍に増加すると予測されている。今後の健康被害を防ぐために今行動を起こすべきことを示す、十分なエビデンスは明らかに存在する。
どれも完璧なものとは言えないが、家族ができるだけプラスチックに触れないで済むように、私が実践している対策を以下にご紹介しよう。