【AFP=時事】中国の学生たちは29日、ドナルド・トランプ米政権が中国人留学生のビザを「積極的に」取り消す方針を示したことに反発し、こうした「無謀」な行動により、かつて輝いていた米国の高等教育のイメージが損なわれていると訴えた。
【写真】北京外国語大学(BFSU)のキャンパスを歩く学生たち
マルコ・ルビオ米国務長官は今週、中国共産党と関係のある学生や、機微な分野を学ぶ中国人学生を対象にビザの積極的な取り消しを進める方針を示した。さらに「中華人民共和国および香港からのすべてのビザ申請について審査基準を見直し、審査を強化する」と述べた。
これに先立ち、トランプ政権はハーバード大学の留学生受け入れ資格を取り消す方針を明らかにしている。
こうした米国の政策について、中国・北京の大学に通う学生、ビ・ジンシンさん(21)はAFPに対し、「性急な決定のように見えるが、計り知れないほど壊滅的な影響を与えている」と語った。
「私たち中国人が米国で学びたい最大の理由は、教員の質と最先端の学術成果だ」とビさんは述べた。
またルビオ氏の提案については、米国が「国際的な学術的評価の普及に資する行動ではない」と指摘。
「トランプ氏とそのチームは、結果を顧みずに無謀な行動を取っているように見える」と続けた。
北京外国語大学(BFSU)のキャンパスでも、重苦しい雰囲気が漂っている。
「(米国が)私たちをこのように標的にするようであれば、留学先としての最良の選択肢や米国に対する印象が損なわれる」とチャン・ユエさん(23)は話す。
これまでは米国の大学で学ぶことを考えていたが、「今では(米国への)期待が下がった」とし、代わりに欧州の大学を選ぶかもしれないと付け加えた。
また、BFSUの図書館の外では、ワンさん(19)がルビオ氏の姿勢について「少し不合理に思える」と語った。
「学生は純粋に学術的な進歩のために(米国に)行くのだから、こうした理不尽に直面すべきではない」と語気を強めた。
中国人留学生は長年にわたり、米国の大学にとって重要な存在となってきた。国務省の支援を受けた国際教育研究所の報告書によると、2023〜24年度は27万7398人が米国の大学に在籍していた。
米国側の一連の動きを受けて、中国政府は29日、米政府に正式に抗議したことを明らかにした。
中国外務省の毛寧報道官は「米国はイデオロギーや国家安全保障を口実に、中国人学生のビザを不合理に取り消した」と非難し、「中国はこれに断固として反対し、米国に厳重に抗議した」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News