米国のドナルド・トランプ大統領が先月31日(現地時間)、人事公聴会まで終えたジャレッド・アイザックマン氏の米航空宇宙局(NASA)局長への指名を撤回したことを巡り、さまざまな観測が出ている。
アイザックマン氏は5月30日、政府効率化省(DOGE)から退いたテスラ(Tesla)のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の側近だ。一部ではトランプ氏がマスク氏と決別した直後、彼の側近まで更迭したことについて一種のトランプ式「パッケージ人事」であると同時に、ホワイトハウス内の権力闘争の結果だという可能性も提起している。
◇1カ月前のウォルツ氏の時は「義理の妹」パッケージ更迭
1カ月前にも類似の人事があった。トランプ氏は5月1日、マイク・ウォルツ前大統領補佐官(国家安全保障担当)を突然駐国連米国大使に指名した。事実上の更迭人事と解釈された。そしてこの人事はウォルツ氏だけで終わらなかった。トランプ氏はウォルツ氏更迭の6日後である5月7日、ソーシャルメディア(SNS)に「ケイシー・ミーンズを医務総監(Surgeon General)候補に指名する」というコメントを載せた。
問題は「米国の主治医」と呼ばれて衛生保険分野の責任を担う医務総監にすでに他の人が指名されていて、すぐ翌日の8日に人事公聴会を控えていたという点だ。何かの偶然か、公聴会前日に落馬した人事はウォルツ氏の義理ので妹あるジャネット・ネシェワット博士だった。彼女の姉であるジュリア・ネシュワット氏はトランプ第1期時にホワイトハウス大統領補佐官(国土安全保障担当)を務め、彼女の配偶者がウォルツ氏だ。結果的にトランプ氏がウォルツ氏に対する突発人事を断行し、その義理の妹まで除去した格好になった。
ジャネット・ネシェワット氏士の代わりに指名されたケイシー・ミーンズ氏の兄であるケリー・ミーンズ氏はロバート・ケネディ・ジュニア保健福祉長官の首席顧問だ。ケイシー・ミーンズ氏は保守偏向ポッドキャストに出演して極右志向支持者の間で人気を博しているウェルビーイング分野のインフルエンサーだ。スタンフォード大学で医学学位を取得したが、外科専攻医(レジデント)過程を中退した経歴と資質に対する批判が提起されていた。このことについてトランプ氏は「私はそれについて分からない。保健福祉長官が優れた人物だと言っていた」と釈明した。
◇突発人事の背後には「トランプ鑑別士」ルーマー氏
現地消息筋は「ウォルツ氏の更迭過程で公聴会を控えていた彼の義理の妹まで更迭したことはトランプ大統領人事の本質を見せている部分でもある」とし「トランプ人事が適任者というよりも忠誠派と彼らの知人中心に行われているという意味」と説明した。続いて「彼らの人事過程で外部の要求に反応する傾向が現れた」とし「特に極右扇動家ローラ・ルーマーが事実上MAGA陣営の代表者として『鑑別士』の役割を果たし、人事の奥深くまで介入しているとみられる」と付け加えた。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、ルーマー氏は4月3日ホワイトハウスでトランプ氏に直接会ってウォルツ氏をはじめとする国家安全保障会議(NSC)幹部数人を露骨に非難した。直後、空軍大将出身のティム・ハウ局長をはじめとする幹部6人が退き、ウォルツ氏もNSCを出た。ルーマー氏はウォルツ氏に続いて更迭されたジャネット・ネシェワット氏についても「トランプと理念的に合わない」と指摘するコメントを出し、トランプ氏は直後にジャネット・ネシェワット氏を更迭した。