制裁下でも欧州を旅行し続けるロシア人、ビザ発給禁止に賛否の声


【画像】フィンランドで入国管理の列に並ぶロシア人

22年2月にロシアがウクライナへ侵攻した後、ロシアと欧州連合(EU)間の直行便は運航停止となった。また同年9月には、EUがロシアとのビザ円滑化協定を停止したため、ロシア国民はEUへの渡航に際し、より時間と費用のかかるビザ申請手続きを強いられることとなった。

またビザ円滑化協定の停止に伴い、シェンゲンビザ(非EU市民もこのビザがあれば、29カ国からなる欧州のシェンゲン圏内を自由に移動できる)の申請手数料が引き上げられ、一部のEU加盟国(その多くは、ロシアと国境を接している)は、ロシア国民が領事館を訪れる際の予約枠を減らした。さらにEUは加盟各国に対し、ロシア人のビザ申請を厳格に審査するよう勧告している。

しかし、この新規則はロシア人旅行者が欧州を旅すること自体を禁じているわけではなく、ロシア人たちの旅行が違法というわけでもない。単に渡航の手続きがより煩雑かつ高額になっているにすぎない。

ラトビア、ノルウェー、ポーランド、フィンランド、エストニア、リトアニア、チェコ共和国に至っては、ロシア国民向けのほぼすべての観光ビザの発給を全面的に禁止している。

しかしメロ氏は、過去1年間に上記の国のうち2カ国を観光ビザで訪れたが、何の問題もなかったという。

メロ氏は、まず他のシェンゲン加盟国、例えばイタリアへ飛び、イタリアから上記の国々に渡れば入国できるとしている。

バルト三国の入国禁止措置は、シェンゲン圏外から越境してくるロシア国民にのみ適用されており、他のシェンゲン加盟国からの入国には適用されない。

居住許可の取得さえ「意外に簡単」

EUの会議で提示されたデータによると、24年にロシア人に発給されたシェンゲンビザは56万5069件で、その9割が観光目的だった。これは新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の19年に発給された約400万件と比べると大幅な減少だが、23年と比較すると25%の増加だ。EUによると、ロシア人に対するビザの発給拒否率は加盟国によって大きく異なり、24年前半には1%から65%まで幅があったという。

ロシア旅行事業者協会(ATOR)の副会長は、ロシアの経済紙ベドモスチとのインタビューで、「シェンゲンビザ発給の安定化」が欧州旅行需要の増加に寄与していると述べた。

ロシアのある有名な旅行ブロガーもATORの見解に同意する。この人物は最近ノルウェーを訪れたという。同国は24年5月にロシア人観光客へのビザ発給を停止した。

ビザを取得する際、購入済みの航空券やホテルの予約確認書など、以前は不要だった追加書類を求められるようになったが、それでも欧州旅行は難しくないと考えているという。

「正直に言うと、今はスペインのデジタルノマドビザのようなEU居住許可証を取得するのはそれほど難しくない。ビザの代わりに3年間有効なEU居住許可証を選ぶ人もおり、これも一般的な方法になってきている」とブロガーは語り、さらに次のように続けた。

「例えば、バルト三国に子どもがいる場合、イタリア、フランス、スペイン経由で入国するのが最も簡単な方法だ。この方法はシンプルで、まずローマに飛んで、そこにしばらく滞在し、その後、バルト三国に飛んで親戚を訪問した後、エストニアとロシアの国境を通ってロシアに戻る」



Source link