NZ国会議員が、自身の「裸の画像」を議場で掲げた理由。「被害者にとって壊滅的な影響」


【画像】裸のディープフェイク画像を示し、法規制を訴えるマクルーア議員

ニュージーランドのACT党のローラ・マクルーア議員は5月14日、生成AIで作成した自身の裸のディープフェイク画像を国会で公開した。

画像は、首から上と膝下以外にぼかしが加えられていた。

マクルーア議員は「これは私の裸の写真ですが、本物ではありません」と語り、A3サイズにコピーした画像を示した。その上で、この画像を作成するのがいかに簡単だったかを語った。

「私自身のディープフェイク画像をいくつも作るのに、5分もかかりませんでした。恐ろしいことに、少しGoogle検索しただけで、使える技術を見つけることができました。Googleでフィルターを外した状態で『deepfake nudify(ディープフェイク ヌード化)』と検索すれば、何百ものサイトが表示されます」

18歳以上であることや、写真に写っている本人であり、かつ使用に同意する欄にチェックを入れるだけでディープフェイク画像を作成でき、メールアドレスの入力も不要だったと報告した。

マクルーア議員は「(性的なディープフェイク画像の)被害者にとって、これは屈辱的であり壊滅的な影響を与えるものです。実際、この画像を議場で掲げるのは非常に嫌悪感を覚えます。たとえそれが本当の写真でなくても、私にそっくりだからです」と訴えた。

また、本人の同意なくディープフェイクポルノを作成・拡散することは「画像を使った虐待の一形態だ」とも指摘した。

現地メディアNZ Heraldによると、ニュージーランドでもディープフェイクを悪用した事例が増加しており、被害者の大半は女性だという。

マクルーア議員は、ディープフェイク関連のいじめやセクストーション(※)の被害に遭った子どもたちの訴えを聞き、そうした被害が若者のメンタルヘルスに深刻な影響を与えていると警鐘を鳴らした。

(※)性的な画像をもとに、金を要求したりさらに画像を送るよう脅したりする行為。性(Sex)と恐喝(Extortion)を組み合わせた言葉

その上で、現在の国内の法律はこうしたAI技術やそれを取り巻く状況に追いついていないとして、性的なディープフェイク画像の作成と共有を処罰するための法改正を提案している。

「この問題がどれほど深刻か、この場にいる全員が理解できるはずです。あなたの子ども、同僚、友人、あるいは家族にも起こり得るのです」

対策する国も
ディープフェイクによる性的画像が世界中で社会問題となる中、対策に乗り出す国も出てきている。

イギリスでは、本人の同意なしに性的に露骨なディープフェイク画像を作成・共有する行為は犯罪化された。

アメリカのトランプ大統領は5月、「Take It Down」法案に署名し、ディープフェイクを含め同意のない性的な画像・動画をSNSなどに投稿することを犯罪とみなす連邦法が成立した。

同法はプラットフォームに対し、被害者から要請があった際に48時間以内にその画像を削除する義務も課している。

一方でTake It Down法をめぐっては、対象範囲が広すぎるため、正当で合法的な画像の検閲につながる恐れがあるとの批判も上がっている。



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