林芳正官房長官は6月3日、政府によるフジテレビへの広告出稿を再開すると発表した。政府は、元タレントの中居正広さんと元フジテレビ女子アナウンサーを巡る一連の問題を受け、今年1月から広告出稿を「当面見合わせる」としていたが、林長官はフジテレビ側の再発防止策への取り組みが「着実に進んでいる」と評価し、再開を決定した。
林芳正官房長官が記者会見で政府のフジテレビ広告再開について説明する様子
政府判断への広がる不信感
この政府の対応に対し、インターネット上では疑問視し不信感を示す声が多く上がっている。「何を基準にして決めたの?」「別にまだ何も変わっていないのに、再開するんだね」「やっぱり特別な“繋がり”ってあるのだろう」など、政府の判断やフジテレビとの関係性を邪推する意見が相次いだ。また、「フジテレビが本当に変わったのかって分かるのは、あと数年は見極めが必要」「早計な判断だとしか思えない」と、再開時期尚早論も多く見られる。
系列局の巨額所得隠し発覚
国民からの疑問の声に加え、「フジの系列会社が所得隠しをやらかしたばかりですよ」「フジ系列の所得隠しがあったって言うのに?」との指摘も散見された。実際、政府発表の同日、フジテレビの系列局である「NST新潟総合テレビ」が、約11億円もの所得を隠していたことが明らかになった。架空のCM制作費を計上する手口で“裏金”を捻出していたといい、これは2024年3月期までの6年間の合計金額。こうした“裏金”が蔓延していた実態が浮き彫りになった形だ。系列局の問題とはいえ、この問題がフジテレビ本体の信用問題に直結することは間違いない。
参院選を巡る政治的思惑への懸念
さらに、政府の判断のタイミングについても、7月に実施が予定されている参院選との関連を指摘する声がある。「選挙近いしねぇw」「なんとなく雰囲気で止めたフリごっこに興じただけ」「政府はフジに『貸し』をつくる。フジは政府に『借り』があるので、自民党の御用メディアとなる」といった邪推は、今回の広告再開が政治的な思惑によるものではないかという国民の懸念を映し出している。もちろんあってはならないことだが、このタイミングでの広告再開が「政治的中立性」という点で疑念を招くのも無理はない。
税金使用の根拠示す必要性
政府の広告出稿は国民の税金から賄われている。一連の問題への国民の不信感が完全に払拭されない中での再開であり、特に系列局の巨額所得隠し発覚と同日であったことは、その判断の妥当性に疑問を投げかけている。政府は、何をもってフジテレビの「再発防止策が着実に進んでいる」と判断したのか、国民に対し明確な根拠を示すべきだろう。