「断るのが苦手」「休日も仕事の連絡が来る」「理不尽に我慢してしまう」――人間関係において、知らず知らずのうちにストレスを抱え込んでいませんか?こうした悩みの根源には、「人間関係に『線を引く』」ことができていない現状があるのかもしれません。この「線」とは、心理学で言うところの「バウンダリー」という考え方に基づいています。
バウンダリーとは、「自分と他者の間にある境界線」のこと。「どこまで相手と関わるか」「どこから自分を守るか」を自分自身で決めるための心理的な境界線を指します。人にはそれぞれ尊重されるべき「自分の領域」がありますが、そこに他人が無遠慮に入り込んでくることが少なくありません。これが「バウンダリーを越えられる」という状態です。バウンダリーを越えられた際には、自分を守るために「これ以上は踏み込まないでほしい」と意思表示をすることは、自分を尊重するために必要なことです。
人間関係の鍵:心理的な境界線「バウンダリー」を理解する
精神科医の藤野智哉氏の著書『人間関係に「線を引く」レッスン 人生がラクになる「バウンダリー」の考え方』では、このバウンダリーの重要性が説かれています。バウンダリーは、単に自分を守るためだけでなく、「相手を守る」「相手を尊重する」という「お互い」の視点が非常に重要です。人は、たとえ悪気がなくても、他人の領域に侵入してしまったり、あるいは自分の領域への侵入を許してしまったりすることがあります。相手が引いた境界線もまた、尊重されるべきものです。
人間関係における心理的な境界線(バウンダリー)をイメージした抽象的なイラスト
人間関係において、自身と他者の間に明確なバウンダリーを設定できるようになると、様々な良い変化が期待できます。例えば、「自分の時間ができる」「自分の身を守ることができる」といった自己肯定的な変化から、「他人の目が気にならなくなる」「人に上手に頼れるようになる」といった対人関係における変化まで多岐にわたります。
バウンダリー設定がもたらす人生の変化
適切にバウンダリーを引くことで、無理のない範囲でお互いの要求を伝え合い、調整することが可能になります。これにより、心地よい距離感で人間関係を築くことができるようになります。自分自身をしっかりと守りつつ、相手も尊重する。「ここまで」という線引きができるようになれば、人間関係のストレスが減り、人生そのものがよりラクになるでしょう。
まとめ
人間関係における「バウンダリー(心理的な境界線)」は、自分自身を守り、尊重するためだけでなく、相手を尊重するためにも不可欠な概念です。曖昧な関係性に悩むのではなく、適切な線引きを学ぶことで、より健康的で心地よい人間関係を築き、人生をより豊かにすることができます。
参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/7a2dc2bf6ee8f6cdf31d0e0543fc35e68fb7e265