(CNN) 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は3日、ロシアとウクライナとの戦争で、ロシア軍の死傷者が今夏までに累計100万人に達する可能性が高いとの推計を発表した。
CSISは100万人という大台は「ロシアのプーチン大統領が露骨に兵士を軽んじていることの表れ」だと指摘している。
発表によると、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まった2022年2月からこれまでの間に、ロシア軍側では推計95万人が死傷し、うち最大25万人が死亡した。旧ソ連時代も含めて、第2次世界大戦以降ロシアが経験した戦争でこれほど死亡率が高い例はないという。
一方、ウクライナ軍では40万人近くが死傷し、うち死者数は6万〜10万人とみている。
自軍の損失については、ウクライナは詳細を明らかにしておらず、ロシアは死傷者数を大幅に少なく見積もっていると考えられているが、CSISが発表した数字は英米の情報機関の分析と一致している。
英国防省は3月に、ロシア軍の死傷者は約90万人にのぼるとの見方を示した。ここ数カ月、毎日約1000人の兵士が死亡または負傷していると判断しており、こうした傾向から数週間以内に死傷者が100万人を超えると見込みだという。
4年目に突入したロシアとウクライナの戦争は消耗戦となっている。多くの損失を出しているロシアは戦力を維持するために囚人を戦線に投入したり、同盟国である北朝鮮の部隊を迎え入れたりしている。また、北部や極東といった貧しい地域で兵士を勧誘している。
CSISは「プーチン大統領はこうした兵士らは消耗品で、国内の支持基盤を揺るがす可能性は低いと考えているようだ」と指摘している。