ゆっくりと時間をかけて愛を育み、ついに“初夜”を迎えたなつ美（芳根京子）と瀧昌（本田響矢）。前回の放送後、SNSは「おめでとう！」「お赤飯炊かねば」と祝福ムードに溢れていた。そんなふうに今期イチ、いや、ここ数年で最も多くの人に見守られている2人だが、本作には熱視線を送られるカップルがもう1組。なつ美の友人・芙美子（山本舞香）と瀧昌の同僚・深見（小関裕太）だ。ドラマ「波うららかに、めおと日和」の第7話では、この「ふかふみ」カップルの恋が大きく進展を見せた。
ドラマ「波うららかに、めおと日和」より、主要登場人物のなつ美と瀧昌
喫茶店での初遭遇とその変化
MMK（＝モテてモテて困る）な深見が、自分になびかない“おもしれー女”として芙美子に興味を持ち、喫茶店で会うことになった2人。最初は腹の探り合いで緊張感が漂っていたが、なつ美と瀧昌のバレバレな尾行に気づいた芙美子が屈託なく笑い、それを見た深見の表情が緩む。その瞬間、深見は完全に心を射抜かれたと言えるだろう。視聴者も、もっと2人のシーンが見たいと願った。
塩対応の芙美子と加速する深見のアプローチ
喫茶店でのランデブー以降、深見からのアプローチは加速気味だが、芙美子はいまだに塩対応を崩さない。「ご家族が心配しないように」と女性の名で手紙を送る深見の気遣いも、芙美子には女慣れしているチャラ男の仕業としか思えなかったようだ。そんなチャラ男とツンデレ女子の恋が発展するのは、チャラ男が真面目な顔を見せた時と数億年前から決まっているお決まりの展開だ。
りんご泥棒の少年との出会い：深見の誠実さ露わに
年末になつ美の家で餅つきが行われることになり、買い出しを頼まれた深見と芙美子。その道中、八百屋の店先で少年がりんごを盗んでいるのを目撃した芙美子は代わりに代金を払ってあげる。母を亡くし、病気の父を持つ少年はお腹を空かせた弟と妹のためにりんごを持って帰ろうとしていたのだ。そんな少年に深見は自身にも弟がいることを明かし、「どんなに苦しくてもお天道様に顔向けできないようなことをしてはダメだ。自慢のお兄さんでいたいだろ？」と優しく諭す。さらには少年が風邪を引かないように自分の上着をかけ、働き口まで紹介してあげる深見の姿は、まさにヒーローそのものだった。「海軍に入れば、自慢のお兄さんになれるかな？」と自分に憧れる少年の頭にポンと手を置き、「それは君次第だよ」と語りかけるその優しい眼差しに、多くの視聴者が胸を打たれたに違いない。
軽薄さの下に隠された真剣な想い
「軽薄そうに見えて実は誠実」という設定はラブストーリーでは王道の一つ。それなのに、しっかり心を掴まれるのは、演じる小関裕太のコントラストのつけ方が巧みだからだろう。「僕に近づいてくるのは家柄が目当ての人や、外見しか見てない人ばかりです」なんて、いつもの深見なら嫌味に聞こえる台詞も、この時はどこか切なげで、彼なりの孤独があることが伝わってくる。そして、「でも、あなたは違う」といつになく真面目な顔で芙美子と向き合う深見。どれだけ芙美子に素っ気なくされても求愛をやめないのは、決してからかっているわけではなく、人の内面を見る彼女に本気で惹かれているからだ。真剣になりきれず、最後は照れ隠しのように誤魔化してしまう深見だが、芙美子にはちゃんとその真剣な思いが伝わったようだ。
心開いた瞬間に垣間見えるタメ語の威力
くしゃみをしながらも、「海軍で鍛えてるから平気」とカッコつけた手前、上着を着ようとしない深見に「風邪引いちゃうよ」と彼の口ぶりを真似てからかう芙美子に、思わず胸キュンとした視聴者も多いだろう。本作は台詞のほとんどが敬語で構成されているが、その中に時々入ってくる“タメ語”がたまらなく魅力的だ。無理やり美味しそうにお酒を飲むなつ美に、瀧昌が笑いながら言った「いや、絶対嘘でしょ」も同様だ。心を開いた相手に対し、不意に出る“タメ語”に私たちはどうしようもなく惹きつけられる。「製作陣は視聴者の心理をわかっているなぁ」と思わず感心してしまう瞬間である。
ドラマ「波うららかに、めおと日和」第7話では、深見と芙美子の関係が新たな段階へと進んだ。深見が見せた意外な一面と、それに対する芙美子の変化が、今後の2人の展開にさらなる期待を抱かせる。
参考文献:
- [Original Article Source] (https://news.yahoo.co.jp/articles/e98aca45de2ae939c94199eccb4c335b9eff2ce0)
