Number_iコンサートツアー初日にファンから辛辣な意見が続出 その背景にある複雑な要因とは

King & Princeの元メンバーである平野紫耀(28)、岸優太(30)、神宮寺勇太(27)が結成したユニット「Number_i」の全国コンサートツアーが、10月11日・12日の北海道公演を皮切りに幕を開けました。しかし、ツアー初日の公演終了後、SNS上にはファンから否定的な感想が相次ぎ、ちょっとした「炎上騒ぎ」へと発展。その背景には、ファンとグループ双方の期待や方針の違い、さらに外部の要因が複雑に絡み合っているようです。

Number_iは9月22日に2ndフルアルバム『No.Ⅱ』をリリースし、同作を引っ提げて10月11日から12月25日まで全国8都市25公演のアリーナツアー「Number_i LIVE TOUR 2025 No.Ⅱ」を開催する予定です。ファン(iLYs)にとって待望のコンサートツアーでしたが、初日の北海道公演後には、「メインステージしかなく照明が暗すぎて3人が見えなかった」「センターステージやバックステージがなく構成が物足りない」「スモークやレーザーが強く後方から見にくい」「音割れがひどく歌声が聞き取りづらい」といった辛辣な意見が続出しました。さらに、「バックダンサーのソロは不要」「バンドの音質が悪くモニターもスピーカーで隠れていた」など、具体的な不満も多数寄せられています。

ファンを失望させたステージ演出と音響問題

今回のNumber_iのコンサートツアーでは、大所帯のバンドを従えた生演奏スタイルが導入されたと報じられています。しかし、この生演奏の導入が、一部のファンにとっては音響面での不満につながりました。特に後方席では「音割れしていた」「ハウリングがひどかった」といった声が上がり、メンバーの歌声が聞き取りにくい状況も発生していたようです。

また、ステージ構成についても、旧ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)主催のコンサートと比較する声が多く聞かれました。従来のコンサートでは、メインステージのほかにアリーナ後方にバックステージ(通称・バクステ)が設けられ、それを繋ぐ花道を使ってアイドルがファンの近くまで移動し、ファンサービスを行う演出が定番でした。しかし、Number_iの今回のツアーはメインステージのみという構成で、終盤にアリーナ外周をトロッコで巡る演出があったものの、スタンド上段のファンからは「トロッコが来ても何も見えなかった」といった落胆の声が上がっています。本編が90分と短かったという意見も散見され、ツアー開始早々、多くの批判的なコメントがSNS上に溢れる結果となりました。

Number_iのメンバー(左から神宮寺勇太、平野紫耀、岸優太)。コンサートツアー初日で様々な意見が上がったNumber_iのメンバー(左から神宮寺勇太、平野紫耀、岸優太)。コンサートツアー初日で様々な意見が上がった

バックダンサーと「アンチ」の動き

批判の声が高まった要因の一つに、バックダンサーに対するファンの既存感情も挙げられます。Number_iのファンの中には、以前からバックダンサー、特に女性ダンサーへの誹謗中傷が見られる層が一定数存在していました。今回のツアーでもバックダンサーが参加していたため、現在のNumber_iの体制に不満を持つ一部のファンが、公演後に辛口な感想を投稿。これをTOBEやNumber_iのアンチ勢力が拡散し、さらに批判的な声が増幅されていったと芸能ライターは指摘しています。

「アイドル」から「アーティスト」への転換期の戸惑い

今回のステージ構成に対する不満について、前出の芸能ライターは、「前事務所でのコンサートスタイルを期待しているファンが多いからこそ、落胆の声が出てしまったのではないか」と分析しています。後方席のファンがメンバーを間近で見られる機会の減少や、ファンサービスの機会が減ることへの不満。「照明が暗い」という意見も「メンバーの顔が見たい」という純粋なファンの思いから来ているのでしょう。

つまり、現在のNumber_iが目指す方針と、King & Prince時代からのファンの一部が抱く「アイドル像」との間にギャップが生じ、SNSが大いに荒れる結果につながったと考えられます。ただし、数日が経つと、「アンコールを含めれば約2時間の公演になる」といった擁護の声も増え、「本当に生演奏が素晴らしすぎた」「Number_iの音へのこだわりが見られて良かった」など、好意的な感想も広がりを見せています。

メンバーの神宮寺勇太は、9月29日に公開された「ELLE」のデジタル版インタビューの中で、今回のツアーについて「今までとはガラッと異なる演出をたくさん考えています! 若干びっくりするんじゃないかなと予想しつつ、僕たちを応援してくれているiLYsなら柔軟に受け入れてくれると思うので、『それはそれで楽しい!』って思ってもらえたらうれしいです」と語っていました。この「ガラッと異なる演出」とは、バンドを従えた生演奏やステージ構成の変化を指しているとみられ、彼ら自身はこうした「変化」もファンに楽しんでほしいと考えていたのでしょう。

King & Prince時代の「王道アイドル」路線から一転し、本格的に「アーティスト路線」へとシフトしつつあるNumber_i。ファンが彼らの新しいスタンスについていけるかどうか、まさに「過渡期」に差し掛かっているのかもしれません。この試練を乗り越え、グループとファンが新たな関係性を築けるかどうかが今後の注目点となるでしょう。


参考文献