雨が降りしきる夜のロケ現場、雑然とした空間に一人、浴衣姿で佇む女性の姿があった。頭には白いタオルが被せられ、その鋭い眼差しだけが前方を見据えている。この人物こそ、元宝塚歌劇団月組のトップスターとして輝きを放ち、現在は女優として活躍する月城かなと(34)である。彼女の放つ圧倒的な存在感、いわゆる「オーラ」は、周囲の喧騒を忘れさせるほど異彩を放っていた。
宝塚歌劇団月組のトップスターとして輝いた軌跡
月城かなとは、「れいこ」の愛称で多くのファンに親しまれ、宝塚歌劇団月組のトップスターとして約3年間にわたり舞台を牽引した。2021年8月にトップに就任して以来、トップ娘役の海乃美月(32)とコンビを組み、『今夜、ロマンス劇場で』や『グレート・ギャツビー』といった数々の話題作を成功に導いた。その華やかなビジュアル、表現力豊かな歌声、そして何よりも「宝塚が理想とする男役」を体現する卓越した演技力は、観客を魅了し続けてきた。
連続ドラマ初出演から多忙な女優業へ
2024年7月、月城かなとは東京公演千秋楽をもって海乃美月とともに宝塚歌劇団を退団。その後、彼女は新たな挑戦として、テレビドラマの世界へと活躍の場を広げた。今年4月期のTBS日曜劇場『キャスター』では、阿部寛(61)演じる主人公・進藤壮一とともに報道番組『ニュースゲート』のキャスター・小池奈美を演じ、連続ドラマ初出演を果たした。進藤の言動に振り回されながらも冷静に対応するアナウンサー役は好評を博し、女優としての新たな可能性を示した。さらに現在放送中のフジテレビ系ドラマ『終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-』では、巨大企業のやり手広報部長・御厨彩芽役を熱演するなど、退団からわずか1年あまりで着実に女優としてのキャリアを築いている。
茨城県つくば市での大規模ロケ:雨中の浴衣と変わらぬ「オーラ」
今回目撃されたロケ撮影は、茨城県つくば市にある商業施設の広場で行われ、100名以上のエキストラが参加する大規模なものだった。撮影スタッフも多数動員されており、その規模の大きさから、新たな映像作品への期待が高まる。陽が落ちてから始まった撮影は、雨が降る中で月城かなとが浴衣姿で歩くシーンが中心だった。
撮影を見物していたという地元住民は、その時の月城かなとの印象を次のように語っている。「月城さんは背が高くて、美しくて、とにかくオーラが凄かったです。闇夜に彼女の姿だけが浮き上がっている感じで、圧倒されました」。カットの声がかかると、雨に濡れた月城はタオルを頭に被せ、待機場所で頭を拭いていたが、その一挙手一投足からも、元トップスターとしての品格と並々ならぬ存在感が感じられた。
雨中撮影の合間に休憩する月城かなと。浴衣姿にジャンパーを羽織り、強い眼差しが印象的
新境地での挑戦と「必死」な日々
宝塚退団から約1年3ヵ月。女優として多忙な日々を送る月城かなとは、現在の心境について「自分としてはずっと必死にやってますね。作品によって求められるものが違ったりするので、毎回本当にドキドキしながら臨んでいる感じです。慣れることあるのかなっていう感じで…」(『クランクイン!』10月26日配信)と語っている。その言葉からは、常に新しい役柄に真摯に向き合い、全身全霊で挑む彼女のプロフェッショナルな姿勢がうかがえる。
宝塚で培った表現力と舞台経験を武器に、新たなフィールドで着実に輝きを増していく月城かなと。今回の大規模なロケ撮影がどのような作品となって世に送り出されるのか、そして今後どのような役柄で私たちを魅了してくれるのか、彼女の次回作への期待は高まるばかりである。





