フジテレビは、タレントの中居正広氏と元女性アナウンサーA氏との間で発生したトラブルに端を発する一連の問題を受け、清水賢治社長が5日、会見を開き、関係社員の処分を発表しました。中でも、トラブル後に中居氏の利益につながる行動をとったとされる元編成部長B氏への処分は「4段階の降格など」とされ、その処分理由がA4用紙約1枚にわたって詳細に記される異例の内容となりました。この処分は、第三者委員会の報告書に基づいて行われたものです。
編成部長B氏への処分理由:二次加害行為とその他のハラスメント事案
元編成部長B氏の処分理由として、まず2023年6月2日に発生した中居氏と被害女性Aアナウンサー間のトラブル後の一連の行動が挙げられています。報告書には、中居氏からの依頼を受け、見舞金100万円を運搬した行為(女性側は受け取りを拒否)や、中居氏にAアナウンサーとの共演経験があるK弁護士を紹介した件などが明記されました。これらの行為は、報告書において「女性Aへの二次加害となり得る不適切な行為」と認定されています。
フジテレビの清水賢治社長が不祥事に関する会見を行う様子。
さらに、B氏が関与した、女性Aアナウンサー以外の女性社員がハラスメント被害を受けたとされる2件の事案も、今回の処分理由に大きく記載されています。
1.2021年12月18日の高級スイート飲み会
報告書によると、この会には中居氏、「タレントU」、そして複数の女性アナウンサーが参加していました。途中で中居氏がB氏らに退出を促し、最終的に中居氏、タレントU、女性アナウンサーQ氏、女性アナウンサーR氏の4人が部屋に残されたとされています。女性Qアナウンサーは、席を離れた女性RアナウンサーをタレントUが追いかけていった後、中居氏と2人きりになった時間があったと証言しています。その際、中居氏から膝や肩、鎖骨付近を触られたり、顔を近づけられたりする行為があり、Qアナウンサーは機嫌を損ねないようにやり過ごしたと証言しているとのことです。今回のB氏への処分理由では、「会食に参加した当社社員の中で最も職位が高かったにもかかわらず、その働きかけ(退出を促されたこと)を止めずに、ホテルの部屋から退出した。その後、ホテルの部屋に残った女性社員ら2名のうち1名がハラスメント行為を受けた」として、同席者としてのB氏の責任が問われました。
2.10年以上前の有力な番組出演者との会食
この事案では、有力な番組出演者とB氏を含む男性社員らが会食し、途中で女性社員が呼び出されました。数時間後、女性社員がトイレに立った際、再び戻ったところ部屋には番組出演者1人しか残っていませんでした。その後、番組出演者が場所を変えようと誘い、タクシーで一軒家のような店の地下部屋に移動。移動先で番組出演者が突如、ズボンと下着を脱ぎ、下半身を露出したとされています。女性社員はこれを拒絶し帰宅しました。今回の処分理由でも、B氏に対し「女性社員がトイレに立った際に、番組出演者以外の他の参加者とともに会食の場を後にして、会食の場に番組出演者と女性社員の2名のみを残した。その後、女性社員は番組出演者から場所を変えようと言われたため、これに応じ、別の店に移動したところ、移動先の店内において、女性社員は番組出演者によるハラスメント行為を受けた」として、再び同席者として女性社員を二人きりの状況にしたB氏の行動が問題視されています。
結論
今回のフジテレビによる幹部社員への処分は、一連の不祥事やハラスメント事案に対する第三者委員会の詳細な報告に基づき、特に元編成部長B氏が、直接的な加害行為ではないにしても、二次加害やハラスメントが発生しうる状況を作り出し、またはそれを防がなかったことに対する責任を厳しく問う形で行われました。この異例の処分は、組織内におけるハラスメント防止とコンプライアンス徹底への強い姿勢を示すものと言えます。
参考資料
- Yahoo News / デイリースポーツ 2024年6月6日掲載記事に基づき作成