【AFP=時事】ドイツのフリードリヒ・メルツ首相(69)は5日、ドナルド・トランプ米大統領(78)とホワイトハウスの大統領執務室で会談し、ウクライナ問題をめぐる意見の相違にもかかわらず、ほぼ無傷で乗り切った。トランプ氏は、ロシアのウクライナ侵攻を子ども同士のけんかになぞらえ、「しばらく戦わせておいた方がいいこともある」と述べた。
就任1か月のメルツ氏はトランプ氏の機嫌を取ろうと、1869年にドイツで生まれたトランプ氏の祖父フリードリヒ・トランプ氏の出生証明書のコピーを額装したものを贈呈。
さらに、トランプ氏をウクライナ紛争終結における「世界のキーパーソン」と称賛。同氏が「ロシアに圧力をかけることで、今こそ真の終戦が実現できる」と続けた。
これは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻で始まった紛争が3年以上続く中、対ロシア制裁発動を嫌がるトランプ氏を動かすための苦肉の策だった。
丁寧な会談は、トランプ氏がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領に仕掛けたような奇襲攻撃を回避しようと、保守派のメルツ氏が十分な準備をして臨んだことをうかがわせた。
だが、両者の意見は必ずしも一致しなかった。
■「子どものけんか」
前日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談したトランプ氏は、大勢の死者を出し、ウクライナの広範囲を廃虚と化したこの紛争を、子どものけんかに例え、しばらく戦わせておく方が良いかもしれないと述べた。
トランプ氏は記者団に対し、「幼い子ども2人が狂ったようにけんかしているのを見かけることがある。彼らは互いに憎み合い、公園でけんかしている。あなたは彼らを引き離そうとする」「時には、しばらく戦わせておく方が良いこともある」と語った。
だがトランプ氏は、ウクライナがロシアの空軍基地に大胆な無人機攻撃を仕掛け、核兵器を搭載可能な戦略爆撃機複数機を破壊したのを受け、プーチン氏に報復しないよう強く求めたと強調。