ロシア軍、ウクライナに大規模報復攻撃 各地で死傷者多数

ロシア軍は6日未明、ウクライナ各地に対しミサイルと無人航空機(ドローン)による大規模な攻撃を実行した。ウクライナ当局の発表によると、この攻撃でレスキュー隊員3人を含む4人が死亡、80人が負傷している。今回のロシア軍によるウクライナへの攻撃は、ウクライナ軍が1日にロシアの空軍基地をドローンで攻撃し軍用機などを破壊した「クモの巣作戦」に対する報復の一部と位置付けられている。

ウクライナ空軍の報告では、ロシア軍は6日にドローン407機と弾道・巡航ミサイル計45発を使用した。キーウ(キエフ)や北西部ボリーニ州、西部リビウ州、フメリニツキー州、中部ポルタバ州などが主な攻撃目標となったが、ウクライナ軍はミサイル約30発とドローン200機を迎撃・無力化した。

キーウでは住宅などが破壊され、16階建てアパートの11階で火災が発生するなどの被害が出た。特に、ロシアの第1波攻撃を受けた現場に駆け付けたレスキュー隊員3人が、第2波攻撃で命を落としたことは大きな悲劇となった。この攻撃により市内で約2000世帯が停電の影響を受け、鉄道の線路破壊による運行停止も発生した。北西部ボリーニ州の州都ルツクでも民家、教育施設、行政施設が破壊され、1人が死亡、30人が負傷している。

衝突が続くウクライナとロシア両国の国旗衝突が続くウクライナとロシア両国の国旗

ウクライナのシビハ外相は6日、X(ツイッター)上でロシア軍用機破壊に対する報復としてウクライナの民間人攻撃したと非難した。ゼレンスキー大統領は「和平を達成するには、まず停戦が必要だ」と述べ、ロシア圧力をかけて攻撃をやめさせる必要性を訴えた。

一方、ロシア国防省は6日、今回の攻撃はウクライナによる「テロ行為」への報復であると主張している。同省はドローン組み立て工場装備品の倉庫など、軍事関連施設を標的とし、「目標は達成された」と発表した。プーチン露大統領は4日、トランプ米大統領との電話協議で、ウクライナ軍による1日の攻撃に触れ、「断固として対応しなければならない」と既に報復の意向を示唆していた。ペスコフ露大統領報道官も6日、「我々の軍の全ての行動は、テロリストの性質を帯びたウクライナによる行動への回答だ」と強調している。

ウクライナ保安庁は、1日の「クモの巣作戦」で露軍の空軍基地に駐機していた爆撃機など41機を攻撃し、約70億ドル(約1兆円)相当の損害ロシアに与えたとしている。

今回のロシア軍によるウクライナへの大規模報復攻撃は、民間人を含む多数の死傷者を出し、各地に甚大な被害をもたらした。両国間の攻撃報復の連鎖はウクライナ情勢をさらに緊迫化させており、国際社会からの圧力停戦に向けた取り組みが喫緊の課題となっている。

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