山口県北部、萩市と阿武町にまたがる直径約10キロの地域で、今年2月から微小な地震活動が続いており、専門家の間でもその原因が謎とされています。観測されている地震は規模が小さく、体に感じる揺れ(震度1以上)は発生していません。この特異な地震活動の背景を探る動きが始まっています。
地震活動の詳細とその異常性
この地震活動は、2月1日夜に萩市北部で始まった低周波地震(M0.1、深さ38キロ)を端緒とします。以降、発生場所は萩市と阿武町の境界付近、深さ23キロから40キロの間で集中しており、最も頻繁な深さは20~30キロ帯です。地震回数は6月2日までに3640回に上ります。マグニチュードは最大2.3ですが、震度1以上の有感地震はありません。活動範囲は直径約10キロに限られ、当初は萩市側が中心でしたが、5月以降は阿武町側での発生が増加傾向にあります。周辺には目立った活断層がない点も、この活動の原因特定を難しくしています。
山口県萩市のむつみ総合事務所、微小地震が続く地域の中心地
専門家も首をひねる「謎」の深度
下関地方気象台の植田伸吾・南海トラフ地震防災官は、この活動について懸念を示しています。「全国的に見られる微小地震は通常、深さ10キロ程度で発生します。今回の活動はそれよりも深い20~30キロ帯で起きており、本来地震が発生しにくい場所です。過去20年間、この地域でこれほどまとまった地震活動はなく、なぜこのようなことが起きているのか、正直謎です」と述べています。
地殻変動の可能性に言及した政府評価
政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会は5月13日、「山口県の地震活動の評価」を発表しました。報告では、「2月から山口県北部で微小地震活動が始まり、地殻の下部である深さ25キロから30キロ程度でまとまった活動が継続している」ことを認め、「この地震活動に伴い、わずかな地殻変動が生じている可能性がある」と慎重な見解を示しています。
今回の山口県北部での微小地震活動は、専門家も首をひねる異常な現象であり、その原因はまだ解明されていません。下関地方気象台は、この活動の背景にある謎について明確な説明ができない状況ですが、地震への備えを改めて確認するよう呼びかけています。今後の推移が注視されます。
参考: https://news.yahoo.co.jp/articles/678c11f237ff6f80f915ff06e4bd2f891f5b882f