【ワシントン=住井亨介】米国務省のオルタガス報道官は27日、ウクライナ東部で続く紛争解決に向けて同国とロシア、仲介役のフランス、ドイツの4首脳が12月にパリで予定する会談に先立ち声明を発表した。声明は「ウクライナの主権、領土保全への米国の支持は揺るがない」とし、東部地域を実効支配する親ロシア武装勢力を支援するロシアを牽制(けんせい)した。
オルタガス氏は、紛争終結の段取りを定めた「ミンスク合意」を履行するよう、「同盟国と協力してロシアに圧力をかけ続ける」と強調した。
ウクライナ東部の紛争は2014年に始まり、親露武装勢力とウクライナ軍との間で続いていたが、11月上旬に双方が前線から兵力撤退を完了させるなど対話への機運が高まっていた。4カ国の枠組みによる首脳会談は16年10月以来。
一方、トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐっては、米下院で弾劾訴追に向けた調査が進行中。疑惑では、トランプ氏がロシアの脅威に対抗する必要に迫られているウクライナのゼレンスキー大統領に対し、対ウクライナ軍事支援と引き換えに自らの政敵であるバイデン前副大統領に関する調査を求めたとされる。声明は米国がウクライナの安全保障問題を重視している姿勢を内外に示す意図もあるとみられる。