愛犬の老いと別れ、その「時」にどう備えるか:介護福祉士エッセイストの視点

愛するペットとの別れは避けられない現実です。特に老犬との暮らしにおいては、いつか訪れる最期の日とどう向き合うかが常に問われます。介護福祉士でありエッセイストのフクダウニーさんは、その時が来ることを常に心に留め、どのような状況で別れが訪れても耐えられるよう備える必要があると語ります。本記事では、愛犬の老いと向き合うリアルな心情と、終末期への予感について綴られた経験をご紹介します。

梨好きの愛犬、超シニア期へ

実家で暮らす愛犬は何よりも梨が大好物です。一年中手に入るリンゴとは違い、季節限定で高価な梨。代用品としてリンゴを与えたこともありましたが、鼻であしらわれてしまいました。普段は穏やかな犬ですが、好物には一切妥協しない生粋の食いしん坊でした。この愛犬は、赤ちゃんから大人、そして老犬へと順調に成長し、今では人間で言えば90歳ほどの超シニアドッグとなりました。のんびり屋で赤ちゃんだった頃の性格はそのままに老いを迎えています。

穏やかに横たわるシニア犬:老犬との暮らしを考える穏やかに横たわるシニア犬:老犬との暮らしを考える

体調の異変、そして迫る「その時」の予感

加齢による変化としては、歯槽膿漏で歯が抜け、常に舌が出るようになったことくらいでした。時々収まっていますが、くしゃみしたりぶるぶるっと首を振ると舌が全部出てくるので、基本的に舌はアウトドア派です。数年前までは、老いてはいるものの元気で大きな病気もなく、食欲も旺盛で、まだまだ生きるだろうと思っていました。私の生活や人生に寄り添ってくれると信じて疑いませんでした。

揺れる心:愛犬の老いと向き合う

しかし、最近の愛犬は体調が優れません。食欲も安定せず、咳が出るようになりました。動物病院で検査を受け、注射や投薬による治療を続けていますが、そもそも何故咳が出るのか原因は特定できず、たとえ分かっても高齢のため治療の選択肢が少ないとのこと。先生には本当に手厚く診ていただき、感謝しています。体調の悪い愛犬の様子を見ていると、もしかしたらそんなことないんじゃないか、かつての元気な姿がいつまでも続くわけではないのかもしれない、という考えが頭をよぎり、心に穴が開きそうな感覚に襲われます。考えたくない、認めたくない現実なのに、気が付けば愛犬のことばかり考えてしまう日々です。これは恋というものなのかしら、まぁ、恋も犬も同じ二文字ですし、と自問するほどです。

老犬との暮らしは、楽しい思い出と共に、いつか来る別れへの覚悟を常に迫るものです。体調を崩した愛犬への心配は尽きませんが、その最期まで寄り添い、後悔のない選択をするための心の準備が今、求められています。

参照:PRESIDENT Online via Yahoo!ニュース