ガザ支援船「マドリーン号」、イスラエルが阻止表明 グレタさんら搭乗

イスラエルは先日、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんらが乗船したパレスチナ自治区ガザ地区への人道支援船が到達するのを阻止すると表明しました。この船は「マドリーン」号と呼ばれ、イスラエルによるガザ封鎖解除を目指す「自由船隊連合(FFC)」に所属しています。緊迫した状況下、船は現在地中海を航行し、ガザ沿岸に接近しています。

ガザ支援船『マドリーン』号の出航前、パレスチナ旗の隣に立つ環境活動家グレタ・トゥンベリさん (撮影日:6月1日)ガザ支援船『マドリーン』号の出航前、パレスチナ旗の隣に立つ環境活動家グレタ・トゥンベリさん (撮影日:6月1日)

支援船の現状と目的

8日夜現在、英国船籍の船「マドリーン」号は、地中海のエジプト北方海域を航行しており、ガザ地区沿岸への接近を続けています。本船を運航するのは、イスラエルによるガザ封鎖解除を目指す国際組織「自由船隊連合(FFC)」です。FFCは過去にも同様の船隊を派遣し、ガザへの到達を試みてきました。

活動家たちの声とリスク

搭乗者の一人であるグレタ・トゥンベリさんは7日、「これは非常に危険な任務であり、過去にこのような船隊が攻撃され、犠牲者が出たことも承知しています」と述べました。一方、ガザの人々が日々直面している生存のリスクに比べれば、船上でのリスクははるかに小さいとの考えを示しました。乗組員や活動家の中には、フランスの欧州議会議員リマ・ハッサン氏や、俳優リアム・カニンガム氏ら著名人も含まれています。船の位置はオンライン追跡システムで公開されており、イスラエル軍による妨害の可能性に備えています。

イスラエル政府の対応と警告

イスラエルのカッツ国防相は、マドリーン号のガザ地区到達を改めて否定。「『マドリーン』号がガザに到達しないよう、イスラエル国防軍に指示した」と述べ、「引き返した方がいい」と警告しました。イスラエルはガザへの物資搬入を厳格に管理しており、海上からの直接的な支援物資の搬入は安全保障上の理由から認めていません。

FFCの主張と今後の見通し

FFCは7日、マドリーン号が翌日(8日)中にガザに到着する予定だと述べていました。阻止の可能性が高まる中、FFCは声明で「法的にも道徳的にも、イスラエルにこの船を妨害する権利はない」と訴えています。彼らは、包囲下で飢餓と絶滅の危機に瀕しているガザの人々には、自らの領土に誰が入るかを決定する国際法上の権利がある、と主張しています。

結論

ガザへの人道支援を試みる「自由船隊連合」と、海上からのアクセスを阻止するイスラエルの間で、緊迫した状況が続いています。グレタ・トゥンベリさんをはじめとする国際的な活動家たちの関与は、ガザ封鎖問題への世界の注目を高めていますが、支援物資が目的地に届くかは依然として不透明な状況です。国際社会は、この船の動向と両者の今後の対応を注視しています。