ベトナム中部にある古都フエの阮朝(グエン朝)王宮内、タイホア宮殿で、国宝に指定されている皇帝の玉座が破壊される事件が5月24日に発生したと、地元メディアなどが報じました。
Viet Nam Newsなどによると、事件は5月24日の正午過ぎに発生。チケットで入場した男が立ち入り禁止区域に入り、玉座によじ登りました。叫びながら左前方のひじ掛け部分を破壊するなど損壊を与え、その場で警察に拘束されました。
フエ タイホア宮殿で損壊した国宝の皇帝玉座
フエ・モニュメント保存センターの所長は、VnExpressの取材に対し、男には事件当時、薬物使用の兆候が見られたと説明しました。「警察が現場の状況を詳しく調べ、捜査を開始しています。玉座の損傷の正確な程度については、今後明らかにする予定です」と述べました。
タイホア宮殿と国宝玉座の重要性
タイホア宮殿は、阮朝時代に皇帝が重要な国事を行った最も重要な建造物です。この玉座は、その歴史的、文化的重要性から2015年に国宝に認定されました。
この国宝玉座は、阮朝の権威を象徴する唯一無二の芸術品です。木造で赤い塗装と金メッキが施されており、高さ101センチ、幅72センチ、奥行きは87センチです。ベトナムの貴重な文化遺産として高く評価されています。
当局の対応
フエ市人民委員会は、今回の事件を「極めてまれで前例のないもの」として強く非難しました。
フエ・モニュメント保存センターは、国宝である玉座をさらなる損傷から守るため、王立古美術博物館内の保管施設に移送することを決定しました。タイホア宮殿では、代わりに精巧なレプリカを展示し、来訪者が見られるようにします。これにより、貴重な文化遺産の保全と一般公開の両立を図ります。
今回の事件は、ベトナムの貴重な文化遺産が直面する脆弱性を浮き彫りにしました。当局は事件の捜査を進め、国宝玉座の修復と保全に全力を挙げます。タイホア宮殿の玉座は歴史の重要な証であり、適切な保護が求められます。