グレタさん、ガザ支援船で拘束か イスラエル側は「安全に誘導」と発表

環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが、パレスチナ自治区ガザへの人道支援物資を運ぶ船でイスラエル軍に拘束されたとの情報が流れています。これは、支援船を組織したフリーダム船団連合(FFC)やトゥーンベリさん本人がSNSで発信したものです。一方、イスラエル側は船を安全に誘導したと説明しており、状況について異なる主張が展開されています。

トゥーンベリさんは自身のInstagramに投稿した動画の中で、「私たちはイスラエル占領軍、もしくはイスラエルを支援する勢力により国際海域で拉致されました」と主張。自身や他の拘束された活動家たちの即時解放のため、スウェーデン政府に圧力をかけるよう呼びかけています。

グレタさん側の主張

トゥーンベリさんを含む、7カ国出身の12人の活動家は、ガザへの人道支援を目的として、FFCの小型帆船「マドリーン号」に乗船していました。この船は、6月1日にイタリア・シチリア島を出航し、早ければ8日にもガザ領海に到達する予定でした。

ガザへの人道支援に向け、「マドリーン号」に乗船前に記者会見を行うグレタ・トゥーンベリさん。ガザへの人道支援に向け、「マドリーン号」に乗船前に記者会見を行うグレタ・トゥーンベリさん。

FFCは6月9日、「マドリーン号」が攻撃を受けたと発表しています。具体的には、ドローンから正体不明の化学物質を投下された後、船が体当たりされ、イスラエル軍が乗り込んできたと伝えています。この後、すべての通信が途絶えたとしており、各国にあるイスラエル大使館に連絡し、ボランティアの安全確保を強く要求するよう呼びかけています。FFCはまた、今回ボランティアたちが経験したことは、ガザのパレスチナ人が日常的に耐えている現実のほんの一端にすぎないと述べています。

イスラエル側の説明

これに対し、イスラエル外務省はX(旧Twitter)に投稿し、トゥーンベリさんらが乗船した船は、ガザ から イスラエル 進路を変更したと述べています。そして、船はイスラエルの海岸に安全に向かっており、乗員たちは自国へ帰国する見込みだと説明しています。イスラエル側は、乗員に水や食料を渡す様子を捉えた画像や動画も公開しています。

背景とこれまでの経緯

イスラエル政府は、ガザへの支援船が到達するのを阻止する方針を表明していました。過去にもFFCの支援船が妨害を受ける事例が発生しています。例えば、FFCの別の船「コンシエンス号」は、5月に人道支援物資を運ぶためにガザへ向かう途中、マルタ沖で2度にわたり爆撃を受けたと報告されています。

今回のグレタ・トゥーンベリさんを巡る事態は、ガザへの人道支援を巡る国際的な緊張と、支援船の受け入れに関するイスラエル側の姿勢が改めて浮き彫りになった出来事と言えます。

出典

ハフポスト日本版 via Yahoo!ニュース、AP通信、X(旧Twitter)