兵庫県知事の情報漏洩問題、斎藤氏ら告発。橋下氏が「知事失格」と指摘

兵庫県知事の斎藤元彦氏(47)を巡る情報漏洩問題は新たな局面を迎えました。元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(55)は11日までに自身のSNSを更新し、この問題における斎藤知事らの動きについて厳しく批判しています。

神戸学院大の上脇博之教授(66)は10日、斎藤知事、井ノ本知明元総務部長、片山安孝元副知事(65)の3人に対し、地方公務員法(守秘義務)違反容疑などで神戸地検に告発状を提出しました。これは、疑惑告発者の私的情報を井ノ本元総務部長が県議に漏洩した行為が、斎藤知事や片山元副知事の指示や唆しによるものだとする疑いに基づいています。

橋下徹氏が兵庫県知事の告発問題について語る橋下徹氏が兵庫県知事の告発問題について語る

告発の背景と内容

この告発は、兵庫県が設置した第三者委員会の調査結果を受けてのものです。第三者委員会は5月、井ノ本元総務部長が県議3人に対して情報漏洩を行ったことを認定し、「知事や元副知事の指示で、県議会の一部会派への根回しの趣旨で漏洩を行った可能性が高い」と指摘しました。

告発状によれば、斎藤知事は昨年4月上旬頃、疑惑告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性の私的情報について、議会側に知らせるよう井ノ本氏に命じたか、あるいは唆したとされています。これを受け、井ノ本氏が県議3人に対し、文書や口頭で情報を漏らしたとされています。また、片山元副知事は、斎藤知事からの指示報告を受けた際に「必要やな」と容認したなどと記されています。

上脇教授は記者会見で、今回の問題の本質は井ノ本元総務部長の単独犯ではなく、「一番責任の重い知事や副知事の命令や認容があってできた組織的な犯罪だと考える」との見解を示しました。

関係者の主張と反論

これまでの経緯の中で、関係者はそれぞれ自身の立場を主張しています。斎藤知事は一貫して情報漏洩の「指示はしていない」と否定しています。一方、井ノ本元総務部長は自身の弁明書で、「知事や元副知事の指示に基づき、部長の職責として正当業務を行ったに過ぎない」と主張しています。片山元副知事は、問題の情報開示は「秘密の漏洩には当たらない」とした上で、「議会の根回しを(斎藤氏が)包括的に了解したと受け止めていた」とコメントしています。これらの主張は、誰が指示し、誰が実行したのか、そしてその行為が守秘義務違反に当たるのかどうかを巡る対立を浮き彫りにしています。

橋下徹氏の見解

橋下徹氏は、「『告発の信用性を否定し、自己保身をはかろうとしていた』大学教授が斎藤知事らを刑事告発 元県民局長の私的情報の漏えい問題」と題された記事を引用し、自身の見解を示しました。

橋下氏は、斎藤知事が「知事失格」である理由は、この「権力行使の一点」にあると指摘しています。さらに、このような傾向は県議会の100条委員会の結論が出る前にすでに明らかであったにもかかわらず、当時は世論が右往左往していたと批判的な見方を示しました。

今後の展望

神戸地検は提出された告発状を受理するかどうかを慎重に検討しています。一方、兵庫県議会もこの状況を注視しており、今後の展開が注目されます。第三者委員会の報告、関係者の異なる主張、そして今回の刑事告発は、問題の複雑さを一層深めており、司法の判断や議会の対応が今後の行方を左右することになります。

【参考資料】