細田守監督（58）の最新長編アニメーション映画『果てしなきスカーレット』が11月21日に公開されましたが、その興行収入は細田作品としては異例の低調ぶりを見せています。公開初日から3日間で動員数13万6,000人、興行収入2億1,000万円という数字は、これまでの監督作と比較しても苦戦が明らかです。さらに、公開2週目にして週末映画動員ランキングのトップ10圏外となるなど、厳しい評価が続いています。
公開からわずか2週でトップ10圏外へ
本作は、公開初週末（11月21日～24日）の興行通信社発表による週末映画動員ランキングで3位にランクインしたものの、その動員数と興行収入は細田監督の過去作品と比べると伸び悩みました。そして、12月1日に興行通信社が公表した11月28日から30日までの週末ランキングでは、早くもトップ10圏外へと転落。これは、大ヒットを記録してきた細田作品としては異例の事態と言えるでしょう。
復讐劇『ハムレット』がベースとなる物語
『果てしなきスカーレット』は、「死者の国」を舞台に、中世の王女スカーレットが父を殺し王位を奪った叔父クローディアスへの復讐を誓い旅に出る物語です。細田監督自身が原作・監督・脚本を手がけ、「復讐劇の元祖」とされるシェイクスピアの『ハムレット』をベースにしたと語っています。
声優キャストには、主人公スカーレット役に芦田愛菜（21）、旅を共にする現代の看護師役に岡田将生（36）を起用。その他、役所広司（69）、市村正親（76）、斉藤由貴（59）といったベテラン俳優陣が脇を固め、豪華な顔ぶれが揃っています。
復讐に燃える王女スカーレット（映画『果てしなきスカーレット』公式サイトより）
酷評の嵐と映画ライターの分析
公開されるやいなや、X（旧Twitter）では鑑賞者からの酷評が相次ぎました。大手映画レビューサイト「映画.com」や「Filmarks」でも、5段階評価中の平均が「2.9」（12月1日現在）と低水準に留まり、レビューには賛否両論の感想が並んでいます。
映画ライターのヒナタカ氏は、本作が苦戦した最大の理由を「これまでの細田監督の映画の雰囲気とあまりに違いすぎる」ことだと分析しています。「トレードマークとも言える“夏にピッタリの爽やかで身近な冒険物語”というイメージを意図的にせよ捨て、“赤黒いビジュアル”“血生臭い復讐劇の物語”を敬遠した方が多かったのだと思います。“最初にこれまでの細田監督作の名シーンを見せる予告編”も、そのギャップを感じさせてしまうため、逆効果だったのではないでしょうか」と指摘しています。
結論
『果てしなきスカーレット』の興行収入低迷と厳しい評価は、細田守監督作品に対する観客の期待と、今作が提示した新たな世界観との間に大きなギャップがあったことが主要因と考えられます。これまでの爽やかなイメージとは異なるダークな復讐劇というテーマは、監督の新たな挑戦である一方で、既存のファン層には受け入れられにくい側面もあったと言えるでしょう。今後の動向が注目されます。
