石破茂首相が群馬県前橋市での意見交換会にて、「北関東って聞いただけで怖そう、群馬県って聞くと怖い人たくさんいそう」「女性強そうみたいな、引いちゃうところがある」と発言したことが、メディアで波紋を呼んでいます。これは地域や女性への差別にあたるのではないか、としてジャーナリストからの厳しい質問も飛び交いました。首相はこの「群馬発言」について釈明しましたが、報道側はこれを大きく取り上げています。
群馬県前橋市での意見交換会で発言する石破首相
発言の具体的な内容と首相の釈明
問題視された「怖い人」というイメージについて、石破首相は上州(群馬)の大親分である国定忠治のイメージから来ていると説明しました。国定忠治は多くの映画や演歌の舞台となり、その一代記は客観的に見れば粗暴さや残忍さも併せ持っていたとされており、群馬の人々に対する「コワモテ」というパブリックイメージを広めた人物です。
また、「女性が強そう」という発言に関しては、群馬の名物「かかあ天下と空っ風」に由来すると首相自身が解説しました。これは明治時代に日本を支えた絹産業が、主に群馬の女性たちの勤勉さと力によって発展したことに端を発しています。つまり、明治期から「群馬女性=よく働き強い女性」というイメージが全国的に定着しており、そのイメージに言及しただけで、他意はなかったと釈明しました。さらに、石破首相はこうした群馬に対するイメージについて、「来てみると違うよねってことが、たくさんある」と述べ、実際の群馬の姿は先入観とは異なると付け加えています。
発言の意図とマスコミ報道への疑問
石破首相は、今回の発言が、初めて訪れる土地での講演やセミナーなどで聴衆の心をつかむための「地元イジり」であり、場を和ませるためのユーモアのつもりだったと述べています。これは、地域の天気やワイドショーネタよりも、聴衆が自分たちの地元について語られることに関心を持つ傾向を利用した、一種のアイスブレイクであったことを示唆しています。
しかし、こうした首相の釈明に対して、一部のジャーナリストやメディアは簡単には引き下がりませんでした。《【速報】石破総理「群馬と聞くと怖い人がたくさんいそう」と発言 その後「差別の意識は全くない」と釈明》(TBS NEWS DIG 6月7日)のように、災害や重大事故が発生したかのような緊張感を持って報道されたのです。元の記事では、このようなメディアの反応は、首相の意図や文化的な背景を十分に考慮せず、「正義」を振りかざすあまり、結果的に自らに跳ね返ってくる「特大ブーメラン」なのではないかという疑問を呈しています。
結論
石破首相による群馬での一連の発言は、地域や女性に対するステレオタイプなイメージに基づいているとして批判を呼びました。しかし、首相自身の釈明によれば、これらの発言は国定忠治やかかあ天下といった群馬特有の歴史・文化的な背景に基づいたものであり、場を和ませるための意図的な「地元イジり」であったとされています。この発言に対するメディアの反応は迅速かつ厳しく、「速報」形式で報じられるなど大きく取り上げられました。しかし、元の記事が指摘するように、その背景にある文化的な文脈や発言の意図を無視した過剰な反応は、メディア自身に対する批判を招く可能性も示唆されています。今回の騒動は、公人の発言が持つ影響力と、それを報道するメディアの役割について、改めて考えさせられる出来事となりました。