医師解説:子供と料理は賢く育む秘訣?驚きの学習&発達効果9選

『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者であり、赤坂ファミリークリニック院長・東京大学医学部附属病院医師の伊藤明子先生が解説します。今回は、多くの親が気になる「子供と料理」がもたらす驚くべき効果について、医学的知見と臨床経験に基づいた確かな情報をお届けします。親子でキッチンに立つことが、子どもの成長にどれほど重要かを見ていきましょう。

手作り神話にとらわれる必要はありません。市販品や冷凍食品も活用しながら、親子で「楽しく料理をする」時間を持つことが大切です。幼い頃から料理に参加し、主体的に調理に関わる経験は、子どもの生涯の健康づくりと生きる力に深く関わります。料理スキルを身につける過程で、賢く食べ、作る力が育まれます。

子供とキッチンで料理を一緒に楽しむ親子の様子子供とキッチンで料理を一緒に楽しむ親子の様子

親子で料理する9つのメリット

子供と料理を共にすることで得られる具体的な良い点を、医学的根拠や研究結果を交えながらご紹介します。

  1. 野菜摂取量が増える傾向に:自分で調理に関わった野菜は、子どもが進んで食べやすくなります。*1
  2. 健康的な食材を選べるように:料理を通して食材に触れることで、自然と栄養バランスや健康を意識した選択ができるようになります。*2
  3. 算数・理科・段取り力・語彙力が自然に向上:計量(数える、分数)、化学変化(加熱・冷却)、手順を追う力、調理器具や食材の名前など、遊びながら幅広い知識やスキルが身につきます。*3
  4. 自分の健康のための判断力が育つ:何が体に良いかを考え、ヘルシーな選択をする力が養われます。*4
  5. 自尊心・自信が育つ:自分で「できた!」という成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が高まります。*5
  6. 創造力(クリエイティビティ)が養える:盛り付けを工夫したり、新しいレシピに挑戦したりすることで、自由な発想力が育まれます。
  7. ライフスキル(生きる力)そのものを育む:計画、実行、問題解決など、生きていく上で必要な総合的な力が身につきます。
  8. コミュニケーションスキル、ソーシャルスキルが向上:親との協力、会話を通じてコミュニケーション能力が高まります。特に発達に課題のある子にとっては、ソーシャルスキルの養成に有効な介入方法の一つとされています。*6
  9. 家族の絆(ボンディング)が強化:一緒に作業する時間は、親子の貴重な触れ合いとなり、絆を深めます。

このように、親子での料理は単なる食事の準備を超えた、子どもにとってかけがえのない学びと成長の機会となります。

作る時間も食卓も楽しく!かんたん飾り切り

少しの工夫で料理が華やかになり、子どもも喜んでくれます。親子で一緒に挑戦できる簡単な飾り切りをご紹介します。

にんじんの型抜き

作り方:
3mm程度の薄さに切ったにんじんなどを、市販の型で抜くだけ。ステンレス製なら失敗しにくく、小さなお子さんでも取り組みやすいです。型抜きした後に、ナイフで立体的に仕上げることもできます。

レモンの蝶

作り方:
レモンを厚さ2mm程度の輪切りにし、中心に向かって半径を切り込みます。切れ目をもって片方を手前に、もう片方を奥にひねると蝶のような形になります。種は取り除きましょう。

ゆで卵の飾り切り

作り方:
固ゆで卵(12分以上ゆでたもの)を使います。ペティナイフなどで、卵の中心に向かってVの字の切り込みを連続して入れていきます。細かい作業が好きな子におすすめです。

「台所育児」という言葉を聞くと身構えてしまうかもしれませんが、「ちぎる」「混ぜる」といった簡単なことから始めれば大丈夫です。親子で一緒にキッチンに立つ時間は、子どもの成長にとって多くの恵みをもたらします。ぜひ、気負わずに、毎日の暮らしに親子料理を取り入れてみてください。

参考資料