日大重量挙げ部 学費不正徴収事件 難波前監督逮捕 その「雲の上」の素顔

日本大学重量挙げ部で起きた学費不正徴収事件を巡り、前監督の難波謙二容疑者(53)が詐欺の疑いで警視庁に逮捕されました。彼はかつて部を全日本学生選手権で連覇に導くなど、強豪校の礎を築いた「レジェンド」と称される存在でした。しかし、監督就任後は部員にとって「練習にも顔を出さない雲の上のような存在だった」といいます。難波容疑者の人物像とその実態、そして不正の手口に迫ります。

日本大学重量挙げ部 学費不正徴収事件で逮捕された難波謙二容疑者日本大学重量挙げ部 学費不正徴収事件で逮捕された難波謙二容疑者

「雲の上」の監督像とコーチ陣との関係

2025年3月まで現役部員だったというA氏の証言によると、逮捕された難波容疑者は監督時代、現役部員との直接的な関わりが極めて少なかったとのことです。A氏は「練習で直接指導されたことはありませんでした。ほとんど関わりがなかったというのが正直なところです。あっても学生に、あいさつ程度の一言があるくらいでした」と語ります。

「雲の上の存在」という報道について、A氏は「練習指導の現場を仕切っているのはコーチらで、よほどのことがない限りは日々の部活動には顔を出さなかったという意味合いが強いです。コーチ陣を管理する遠い人のような存在でした」と説明しています。部内の状況は、難波容疑者がコーチ陣に車の送迎をさせ、自身が車で会場を出る際にはコーチ陣がそろって見送るなど、まるで「組」のような雰囲気だったといいます。また、難波容疑者はコーチ陣に対し、「いつ俺に勝利を届けてくれるのか」など高圧的にプレッシャーをかける場面が度々あり、コーチらも彼に常に気を遣っているような状況でした。

不正徴収の手口と金の私的利用の実態

警視庁の調べによると、生徒の保護者から騙し取られた学費は、判明しているだけで5300万円以上に上るとされています。不正に得た金の使い道は、難波容疑者個人の私的な飲食代、ブランド品の購入、さらには愛車である高級外車のメンテナンス費用などに充てられていたとのことです。

A氏は、全日本インカレで優勝した際に寮で行われていた難波前監督のおごりによる「ビールがけ」の習慣に触れ、「ご厚意だったかもしれませんが、もし金の出どころが詐欺によるものだったなら、嬉しくもなんともありません」と複雑な心境を語っています。

不正の手口は巧妙でした。難波容疑者は、コーチらに指示し、スポーツ奨学生として本来学費が不要な1年目の学生に対し、「2年目以降はスポーツ奨学生として申請予定だが、1年目のみお支払いください」と虚偽の説明をさせて請求書を送付させていました。保護者からの振込先口座は重量挙げ部の口座でしたが、不正に得た金の一部は難波容疑者の研究室内に設置されたキャビネットに保管されていたといいます。

日大重量挙げ部 難波前監督の高級外車と逮捕・移送時の写真 学費不正徴収で得た金の私的利用を象徴日大重量挙げ部 難波前監督の高級外車と逮捕・移送時の写真 学費不正徴収で得た金の私的利用を象徴

コーチ陣の関与と元部員の厳しい声

かつて難波前監督がコーチ時代に日大重量挙げ部をインカレ連覇の強豪に育て上げた功績は大きく、これがコーチ陣が彼に逆らえなかった要因の一つとみられています。不正に関与したとされる一部のコーチは、説明会で部員に対し「俺は監督にやらされた。関係ない」「おれも被害者だ」と弁解しました。警察に対しても同様の主張をしているようですが、A氏は、高級車を改造して乗り回しているコーチがいる現状に触れ、「関わったコーチ陣は本当のことを話し、きちんと処罰されてほしい」と厳しい意見を述べています。

日本大学重量挙げ部の元部員から学費を不正に徴収したとされる難波謙二前監督の逮捕は、かつての輝かしい実績とはかけ離れた私物化の実態を浮き彫りにしました。5300万円を超える金が個人的な欲望のために費やされ、学生や保護者の信頼は裏切られました。難波容疑者だけでなく、コーチ陣の関与の真相究明と、被害を受けた学生・保護者への誠実な対応が今後の焦点となります。

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