福岡市の小学校で今年4月に提供された給食が、その「見た目」を巡って波紋を広げている。献立は麦ごはんに春キャベツのみそ汁、牛乳、そして鶏の唐揚げだったが、おかずの唐揚げが皿の中央に1個だけ置かれている写真がSNS上で拡散。「少なすぎる」「子どもがかわいそう」といった批判が殺到し、「貧相すぎる給食」として炎上した。成長期の子どもたちの給食として、栄養面だけでなく見た目の重要性も問われている。
福岡市の小学校で提供され、唐揚げ1個のみで批判を浴びた学校給食の写真
福岡市のケース詳細と市の説明
SNSで拡散されたのは、福岡市内の小学校で4月18日に提供された給食の献立画像だ。唯一のおかずである唐揚げが1個のみであることに対し、福岡市学校給食公社の公式サイトに掲載された画像が批判の的となった。市側は、このメニューは以前から存在し、提供された唐揚げは「普通の唐揚げ2個分の大きさがある」と説明している。また、献立全体で620キロカロリーを確保しており、市の基準である1食あたり600キロカロリーは満たしているとしている。栄養量の基準はクリアしているものの、写真から受ける「寂しい印象」は否定できず、SNSでの炎上につながったのは理解できる。
東京都港区でも同様の批判
「貧相な学校給食」を巡る物議は福岡市に限らない。東京都港区でも今年5月、小学校で提供された「天津丼」が「玉子焼きがのっているだけ」に見えるとSNSで批判を浴びた。「残飯にしか見えない」「刑務所よりひどい」といった厳しい意見も出た。港区議によると、実際にはとろみのあるあんがかかっていたが、盛り付けによって見え方に差が出たという。これも福岡市の唐揚げ1個に匹敵するほどの視覚的インパクトがあり、見た目の問題が大きな反響を呼んだ事例と言える。
問題の背景:物価高と予算
こうした一見「貧相に見える給食」が問題視される背景には何があるのか。関係者によると、最大の要因は物価高だという。食材費が高騰する中で、以前と同じ予算で同程度の質や量の給食を提供することが難しくなっている状況がある。また、年度末に予算が不足する事態を避けるため、年度初めは献立を控えめにするケースもあるとされる。経済的な要因が、学校給食の現場に影響を与えていることが指摘されている。
自治体の対応と今後の展望
福岡市では、今回の批判を受けて教育委員会が検討会を設置し、改善を進める方針だ。高島宗一郎市長も給食予算を増額する考えを示しており、栄養だけでなく見た目も含めて子どもたちが「食べたいと思う食事」にしていく方向性を示している。学校給食を巡る問題は日本だけでなく、隣国の中国などでも複雑な課題を抱えていると報じられており、経済状況が教育現場、特に子どもたちの食に影響を与える問題は世界共通の側面もあると言える。