国民民主党、山尾志桜里氏の参院選公認を取り消し 玉木代表「有権者や全国の仲間からの十分な理解と信頼が得られない」

「いち候補者で政党が揺らぐようなことはありません。我々はそんなヤワなもんじゃない」。国民民主党の玉木雄一郎代表(56)は5月15日、自身のYouTubeチャンネルでこう語り、党の結束を強調していた。しかし、その発言から約1カ月後、党は予期せぬ事態に直面し、内部が波立っている。

国民民主党は6月11日に開催された両院議員総会で、今夏の参院選比例区での立候補が予定されていた山尾志桜里元衆院議員(50)の公認取り消しを急遽決定した。これは、物議を醸した山尾氏の出馬会見からわずか一日での急転直下の展開となった。

玉木代表は11日のぶら下がり取材で、今回の決定について「有権者や全国の仲間、支援者から十分な理解と信頼が得られないと判断しました」と説明した。この背景には、山尾氏が過去に報じられた複数の問題があった。議員時代のガソリン代不正計上疑惑や、弁護士である倉持麟太郎氏(42)との不倫疑惑、議員パスの私的利用などが週刊誌で取り沙汰された際、当初、山尾氏からの十分な説明がなかったという経緯がある。

今年5月14日に国民民主党が山尾氏の擁立を発表すると、過去の問題を巡り有権者から疑問の声が噴出した。特に、2021年に『週刊文春』が報じた倉持氏の元妻の自死についても注目が集まった。6月10日にようやく開かれた山尾氏の出馬会見では、記者からの質問は主に不倫疑惑に集中した。しかし、山尾氏は疑惑を否定しつつも詳細な説明を避け、「相手方の元妻に関する報道については事情を存じ上げない」と述べるにとどまった。国政復帰への意欲は示したものの、質問への正面からの応答を避ける姿勢は、かえって世論の反発を招く結果となった。

国民民主党 玉木雄一郎代表、山尾志桜里氏の公認取り消し決定時の様子国民民主党 玉木雄一郎代表、山尾志桜里氏の公認取り消し決定時の様子

山尾氏は玉木氏と2009年の衆院選初当選同期であり、今回の国政再挑戦も玉木氏からの要望だったとされている。そうした関係にもかかわらず、直前で公認を取り消された山尾氏は12日、《両院議員総会での公認取り消し決定について》と題する2000字を超える文書を公表した。その文面からは、公認取り消し決定に対する彼女の困惑ぶりや、党に対する不信感がにじみ出ていた。

文書によると、山尾氏は今年4月23日には既に党から公認決定の連絡を受けていた。しかし、その発表と同日に予定されていた玉木氏と榛葉賀津也幹事長(58)による会見については、《先送りさせてほしい》との意向も同時に伝えられたという。その後も、《SNS等での批判の沈静化》や《愛知県内における私の政治活動に対する愛知県連所属国会議員からの強い懸念》などが理由として挙げられ、公認発表や会見は繰り返し先送りされた。最終的に公認発表が5月14日となり、出馬会見が6月10日にずれ込んだ経緯が記されている。

山尾氏は文書の中で、出馬会見が当初予定から大幅に遅れたことについても言及。《出馬会見に関しては、当初の4月23日の予定が持ち越されて一旦は宙に浮く形になっておりましたので、私としては早期の開催の意思を党にお伝えしつつ、党からの判断を待った結果、6月10日開催の運びとなりました》と、会見開催が遅れたのは党側の判断を待った結果であることを説明している。

今回の国民民主党による山尾氏の公認取り消しは、過去の問題が再燃したことによる世論の反発と、それを受けた党内の判断が背景にある。特に、党が公認決定後も発表や会見を繰り返し延期したこと、そして最終的に公認を取り消したプロセスについて、山尾氏が公表した文書は党側の対応への疑問を呈している。玉木代表のかつての「ヤワなもんじゃない」という言葉とは裏腹に、参院選を前にした党内に緊張が走っている状況だ。

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