(CNN) コロンビアで出土した古代人類の遺骨を調べていた研究チームがこのほど、この集団にいかなる既知の祖先も現生人類の子孫も存在しないことを突き止めた。
研究チームは科学誌サイエンス・アドバンシーズに掲載された論文で、中央コロンビアのボゴタ高原から遺骨が出土した21人の遺伝子データについて報告。これによると、21人は未知の集団に属しており、一部の人が生きた時代は6000年前にさかのぼるという。
以前の研究では、シベリアから氷を渡って初めて米大陸に到達した人々が南下を始めた後、北米先住民と南米先住民の2系統が生まれたことが示されていた。
後者の南米先住民は少なくとも三つの亜系統に分岐した。こうした亜系統の南米大陸での移動経路は追跡されているものの、中米から南米への移住が最初に行われた時期については確認されていない。
論文著者を務めたコロンビア国立大学の研究者、アンドレア・カサス・バルガス氏はCNNの11日の取材に対し、今回の研究は遊牧系の狩猟採集民だった最初の定住者の移動経路を描く手がかりなると同時に、その人々が独自のDNAを持っていたことも判明したと説明する。
カサス・バルガス氏によると、研究チームは遺骨のDNAが遺伝子記録上の他の集団のDNAと共通していないことを知り、「非常に驚いていた」という。
「他の集団で報告例のない系統が見つかるとは予想していなかった」(カサス・バルガス氏)
カサス・バルガス氏はまた、南米の玄関口に当たるコロンビアの位置を踏まえると、今回の研究は南北米大陸の人口構成を理解するうえで重要な意味を持つと強調した。
「コロンビアから出土した古代のサンプルで全ゲノム解析が行われたのは初めてであり、大変意義深い」(カサス・バルガス氏)
カサス・バルガス氏は、今回の研究結果から「彼らがどこから来て、なぜ消えたのか」という疑問が生じると指摘する。
「彼らが消えた原因は環境の変化なのか、別の集団に取って代わられたのか、当時何が起きたのかは確証がない」とカサス・バルガス氏は言い添え、さらなる研究で答えが得られることを期待すると語った。