インド旅客機が市街地に墜落、アーメダバードで衝撃広がる

インド西部アーメダバードで12日午後、旅客機が墜落する事故が発生した。離陸直後の機体が市街地に落下し、空港周辺住民に大きな衝撃を与えている。現場では懸命な捜索・救助活動が続いている。

事故発生時の衝撃と現場の状況

PTI通信がXに投稿した事故発生時とみられる映像によると、エア・インディアの旅客機は徐々に高度を下げ、建物で見えなくなった直後に爆発音が響き、オレンジ色の炎と黒煙が上がった。別の映像では、建物の屋根に機体の一部が乗り上げ、多くの地域住民が集まる様子が捉えられている。

墜落現場から約1キロ離れたクリニックで働くディパリ・タタンさん(22)は本紙の電話取材に対し、「大きな音を聞いて外に出たら黒煙が上がっていて怖かった。友人や親戚が近くに住んでいて心配だ」と話した。アーメダバードの空港近くでカフェを経営する男性も、「空港には友人や親戚が多く勤めている。皆ショックを受けている」と言葉を絞り出した。

インド西部アーメダバードの旅客機墜落現場で活動する救助隊員たちインド西部アーメダバードの旅客機墜落現場で活動する救助隊員たち

学生寮への衝突と住民の証言

印民放NDTVは、旅客機が現地の医科大学の学生寮に衝突したと報じた。NDTVが報じた写真には、壁が大きく損壊し、建物内部から機体の一部が見えている様子が映っている。墜落現場近くの別の住民はPTI通信に対し、「大きな音を聞いて外に出ると、煙が立ち上り、周囲には遺体と飛行機の残骸が散乱していた」と生々しい証言をした。

エア・インディアとアーメダバードの地域情報

1932年設立のエア・インディアは、ロンドン、ニューヨーク、シドニーなど世界各地とインドを結ぶ主要航空会社の一つである。アーメダバードはインドのグジャラート州最大の都市で、ナレンドラ・モディ首相の地元でもある。同州にはスズキ、ホンダ、豊田通商など50社以上の日系企業が進出しており、モディ政権が推進する半導体産業誘致の結果、半導体大手ルネサスエレクトロニクスなどが出資する合弁会社による新工場建設も進むなど、今後も日系企業のさらなる進出も見込まれている。

アーメダバード旅客機墜落事故に関連する最近の主な航空機事故リストアーメダバード旅客機墜落事故に関連する最近の主な航空機事故リスト

現地日本人社会への影響と懸念

アーメダバードには約230人の在住日本人が組織する「アーメダバード日本人会」があるが、これまでのところ日本人が事故に巻き込まれたという情報は入っていない。しかし、現地在住の日本人男性は、「近くでこんな事故が起こるのはショッキングだ。インド国内の移動にも飛行機を使うため、現地に住む日本人の間で不安が広がらなければ良いが」と懸念を示した。

インド西部アーメダバードでの旅客機墜落事故は、市街地の住民に深刻な影響を与えている。現地に展開する多くの日系企業や在住日本人コミュニティの間でも、状況の把握と今後の航空機利用を含む安全に対する懸念が広がっている。捜索活動は継続されており、事故原因の徹底的な究明が待たれる。

【出典】PTI通信、NDTV、読売新聞