国民民主党、山尾氏公認取り消しに続き須藤氏にも懸念 – 参院選候補者選定の混乱

《好きな言葉は「心機一転」です。色々ありますけど、気持ちを切り替えて東京都議選を皆さんと一緒に頑張って参りたいと思います》

6月13日正午過ぎ、東京・西葛西駅前での街頭演説でこのように述べたのは、国民民主党の榛葉賀津也幹事長(58)でした。「色々」とは、まさに党が今夏の参院選比例区での擁立を予定していた山尾志桜里元衆院議員(50)の「公認取り消し」を巡る一連の騒動を指しています。この一件に加え、別の候補予定者である須藤元気氏(47)にも過去の見解を巡る懸念が lingeringしており、党は参院選や都議選を前に候補者選定で大きな混乱に直面しています。

山尾志桜里氏の公認取り消し騒動

5月14日に山尾氏の擁立が発表されると、議員時代の週刊文春報道で指摘された弁護士・倉持麟太郎氏(42)との不倫疑惑や、議員パスの不正利用、そして倉持氏の元妻が2020年に自死したとされる問題が再びクローズアップされました。山尾氏は6月10日の会見でこれらの問題について釈明を行いましたが、十分な説明とは受け止められず、批判が殺到しました。

結局、会見翌日の両院議員総会で党は山尾氏の公認取り消しを決定。過去の問題を把握しながら国政再挑戦を誘ったとされる玉木雄一郎代表(55)の責任も問われ、党の身内を容易に“切る”姿勢に対しても有権者から批判が噴出しました。山尾氏自身も12日に文書を公表し、党への不信感を露わにして離党届を提出するという、異例の展開となりました。

国民民主党の榛葉賀津也幹事長が東京都西葛西駅前で街頭演説を行う様子国民民主党の榛葉賀津也幹事長が東京都西葛西駅前で街頭演説を行う様子

須藤元気氏をめぐる懸念と「確認書」

山尾氏の件と同時期から、国民民主党が参院比例区の候補者として発表した4人の国会議員経験者のうち、須藤元気氏に対しても過去の問題が指摘されていました。須藤氏はかつて、新型コロナウイルスのワクチン接種を巡る見解や、原発の活用に対する否定的な立場を示しており、これらが見解が党の方針と一致しない点が懸念されていました。

須藤氏の擁立が明らかになると、「国民民主党は非科学に振れるのか」といった批判が一部で起こり始めました。これに対し、党と須藤氏は「確認書」を交わし、須藤氏は5月14日に自身のX(旧Twitter)で《党として決定した事項に反する行動は取りません》と明言しました。彼はかつて否定的だった原発活用について、《「安全性を確保した上での活用」は必要》と考えを改めたとし、ワクチンに関しても《ワクチンの重症化予防効果等を含めて科学的根拠を否定する立場ではありません》と主張し、いわゆる“反ワクチン”の立場ではないことを強調しました。

国民民主党からの参院選候補予定者である須藤元気氏が自転車で街頭活動を行う姿国民民主党からの参院選候補予定者である須藤元気氏が自転車で街頭活動を行う姿

しかしながら、確認書にサインした後も、ワクチンに関する須藤氏の過去の投稿の一部が削除されずに残っているため、一部からは須藤氏の擁立を巡って、「本当に政策が一致しているのか」「公認を受けるためにサインしただけではないか」といった根強い批判が続いています。

選挙を前に問われる党の姿勢

国民民主党は、山尾氏の公認取り消しという大きな波乱を経て、榛葉幹事長が「心機一転」を掲げるものの、須藤氏を巡る懸念も完全に払拭されたわけではありません。玉木代表は10日の定例会見で、須藤氏も近く会見を開く予定があることに言及しており、この会見が須藤氏と党にとっての新たな正念場となるでしょう。相次ぐ候補者の問題は、来る都議選や参院選を戦う上で、国民民主党の信頼性や候補者選定プロセスの適切さが改めて問われる事態となっています。