トランプ氏への大規模抗議デモ、全米で展開 「王はいらない」

【ニューヨーク共同】ドナルド・トランプ前米大統領に対する大規模な抗議デモ「ノー・キングス(No Kings、王はいらない)」が14日、全米各地で一斉に開催された。同日、トランプ氏が首都ワシントンD.C.で実施した軍事パレードに先立つ形で組織され、米メディアの報道によると、その規模は約2000カ所に及んだ。これは、トランプ氏が今年1月に政権に復帰して以降、特に移民政策などに対する反対運動としては最大規模とみられている。

全米各地で広がる抗議の波

デモの主催者側は、全米で数百万人規模の参加者動員を目指して呼びかけを行った。各地の主要な広場や公園、大通りなどがデモの会場となり、多くの市民が集まった。デモの大きな批判対象の一つとなったのは、トランプ氏の誕生日である14日に合わせて開催された軍事パレードの存在だ。パレードに投じられる巨額の費用や、そのタイミングから「軍の私物化」であるとの批判が噴出した。

CNNテレビなどの報道によれば、特に西部カリフォルニア州ロサンゼルスでは2万人を超える参加者が集結した。ロサンゼルスでは、トランプ政権の移民政策に抗議するデモが1週間以上にわたって継続しており、「ノー・キングス」デモもその流れをくむものとなった。一方、中西部ミネソタ州では、同日に州議会議員2人が銃撃され1人が死亡する事件が発生したことを受け、主催者が同州でのデモを急遽中止する措置をとった。

各地の状況と参加者の声

ロサンゼルス:移民政策への反発

ロサンゼルスでの大規模なデモは、トランプ政権が進める厳しい移民政策に対する強い反発を示すものだった。参加者たちは、国境での状況や移民コミュニティへの影響に懸念を表明し、政策転換を求めた。

ミネソタ:銃撃事件による中止

ミネソタ州でのデモ中止は、予期せぬ悲劇的な事件を受けたものであり、参加者の安全を最優先した判断だった。

ニューヨーク:雨中の行進と訴え

東部ニューヨークでも、雨が降りしきる悪天候の中、数多くの参加者が中心部マンハッタンを行進した。

「ノー・キングス」デモでプラカードを掲げる参加者(ニューヨーク)「ノー・キングス」デモでプラカードを掲げる参加者(ニューヨーク)

ニューヨーク在住のナンシーさんは、「(米国が独立した)1776年からこの国に王はいない」と記されたプラカードを掲げ、デモに参加した理由を「大統領ではなく王のように振る舞うトランプ氏の発言や行動は目に余る。米国の歴史や先人が築いてきた基盤を無視している」と強い口調で訴えた。また、ニューヨークのデモに参加するためにワシントンD.C.から訪れた大学生のジャッキーさんは、「トランプ氏の移民政策に反対するために来た。ロサンゼルスでのデモ対策として州兵と海兵隊を派遣したのは違法だと思うし、許せない」と自身の主張を述べ、移民政策やそれに関連する政権の対応への批判を展開した。

結論

今回の全米規模の「ノー・キングス」抗議デモは、トランプ前大統領の復帰後の政権運営、特に移民政策や、自身の誕生日と合わせた軍事パレードの実施といった一連の行動に対する国民の根強い不満と懸念が改めて浮き彫りとなった形だ。約2000カ所、数万人規模の参加者は、これが単一の地域的な問題ではなく、米国内の広範な層が関心を寄せる全国的な動きであることを示している。この大規模な抗議活動は、今後のトランプ氏の政治活動や世論に影響を与える可能性を秘めている。

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