イスラエル、イラン核「兵器化」を主張:真偽不明の中、衝突継続

イスラエルとイランの間で続く軍事衝突は、イランの核開発計画を巡る対立が主要な焦点の一つとなっています。イランの最高指導者ハメネイ師は18日、X(旧ツイッター)を通じて「断固たる対応を取る」と述べ、戦闘を継続する姿勢を示しました。一方、イスラエルは、イランの核開発が兵器化段階に近づいていることを攻撃の正当化根拠としていますが、その実態については依然として不明瞭な部分が多く残っています。この イスラエル イラン 核開発 を巡る緊張は、地域の不安定化を一層深めています。

イスラエル側「イランの核兵器化は差し迫っている」と警告

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、攻撃開始後の13日に「イランはここ数カ月で、濃縮ウランを兵器化するための一歩を初めて踏んだ」と発言し、今回の軍事行動の必要性を強調しました。イスラエル当局は繰り返し、イランの核兵器開発が「引き戻せないレベル」に到達する危険があったと主張しています。彼らが公表したとされる資料では、イランがウラン濃縮に加え、核兵器の起爆に必要な中性子発生装置の開発や、プラスチック製爆発物の製造ライン再開といった、いわゆる核物質の「兵器化」に向けた秘密裏の計画を進めているとされています。
X(旧ツイッター)に投稿するイラン最高指導者ハメネイ師のイメージ画像X(旧ツイッター)に投稿するイラン最高指導者ハメネイ師のイメージ画像

国際原子力機関(IAEA)が確認したイランのウラン濃縮レベル

イランはこれまで、自国の核開発はあくまで平和的な「民間利用のため」であると主張してきました。しかし、原子力発電に必要な数%というレベルをはるかに超える高水準にまでウラン濃縮度を高めていることは、国際原子力機関(IAEA)も公式に認めている事実です。IAEAの報告によれば、イランは現在、核兵器級に近いとされる濃縮率60%のウランを400キログラム以上貯蔵しています。専門家は、この量の60%濃縮ウランは、数週間以内に核兵器に必要な90%以上に再濃縮することが可能であり、計算上、9発程度の核爆弾の製造に十分な量になると分析しています。
イランの核兵器開発計画とされる地下施設の想像図イランの核兵器開発計画とされる地下施設の想像図

米情報機関や主要メディアはイスラエルの主張に懐疑的

一方で、イスラエル軍が公表したとされるイランの核兵器獲得秘密計画に関する資料の信頼性については、疑問視する声も上がっています。例えば、著名な英誌エコノミストは、軍が示した一連の資料には明確な証拠が不足しているとして、その信憑性に疑念を呈しました。また、米国の情報機関の見解もイスラエルの主張とは異なります。米国のギャバード国家情報長官は今年3月、議会報告の中で「イランは核兵器を製造しておらず、最高指導者ハメネイ師も核兵器計画を承認していない」と明確に述べています。米CNNテレビも、米情報機関関係者の話として、イランが現在積極的に核兵器開発に取り組んでいるわけではないと報じており、イスラエルの「差し迫った脅威」論には懐疑的な見方が存在します。
ウラン濃縮のプロセスを示す概念図または関連施設の外観ウラン濃縮のプロセスを示す概念図または関連施設の外観

これらの状況から、イスラエルはイランの地下核関連施設の破壊などを通じて、核兵器開発能力を物理的に無力化することを目指していると考えられます。しかし、たとえ施設の一部が破壊されたとしても、長年にわたり蓄積されたイランの「核の知識」そのものを消滅させることは極めて困難です。イラン側は、国際社会からの圧力やイスラエルからの攻撃を受けながらも、核開発を継続する構えを見せており、この問題は今後も地域の安定に対する重大な懸念として残るでしょう。