気象庁は6月17日、伊豆諸島に位置する三宅島(東京都)の山頂火口直下で地震活動が活発になっていることを受け、噴火警戒レベルを2の「火口周辺規制」に引き上げました。この地域の活発な地震活動は、過去に大規模な噴火を引き起こした際の状況と類似点があり、今後の火山活動の可能性について注目が集まっています。
伊豆諸島での地震活動と火山活動の関連
伊豆諸島では、地震と火山活動が密接に関連して発生する傾向が見られます。最近では、利島村付近で2023年5月22日に震度5弱を観測する地震が発生しました。震源は活火山の新島と神津島の近海、深さ11キロメートルでマグニチュード(M)は5.3でした。過去にも、この海域でのマグマの動きが三宅島での噴火につながった事例があります。
2000年三宅島噴火の経過
2000年の三宅島噴火は、一連の地震活動を伴いながら進行しました。
6月26日に三宅島と神津島周辺で地震活動が始まり、翌27日には三宅島西方沖で海底噴火を確認。7月1日には神津島でM6.4、最大震度6弱の地震が発生し、地すべりによる死者も出ました。
7月8日には三宅島の山頂で小規模な噴火が起き、その後山頂の陥没が進行。8月半ばには直径1.6キロメートル、深さ450メートルのカルデラが形成されました。これは約2500年前にできた八丁平カルデラと同規模です。
8月18日には三宅島と神津島間でマグマ貫入によるM6.0の地震(最大震度6弱)が発生し、同日の噴火では噴煙が高さ14キロメートルに達しました。8月29日には勢いの弱い火砕流も発生しています。
2000年8月、噴煙を上げる三宅島の雄山山頂火口。大規模噴火とカルデラ形成を示す様子。
有毒な火山ガスと長期避難
2000年9月以降は、二酸化硫黄などの有毒な火山ガスの大量放出が始まり、9月2日に全島民約4000人が島外への避難を余儀なくされました。火山ガスの放出量が低下し、避難指示が解除されたのは4年半後の2005年2月でした。これは、火山活動に伴うガス放出が長期にわたる影響をもたらすことを示す事例です。
過去の噴火周期と今後の見通し
20世紀以降の三宅島では、1940年、1962年、1983年、2000年と噴火が繰り返されてきました。過去の規則的な約21年の噴火周期から見ると、2000年の噴火はやや早かったものの、次の周期の目安としては2025年が考えられます。今回の活発な地震活動と噴火警戒レベルの引き上げは、三宅島での噴火活動が再び近づいている可能性を示唆しています。
まとめ
今回の三宅島の噴火警戒レベル引き上げと活発な地震活動は、過去の大規模噴火の経緯を踏まえると、今後の火山活動に厳重な注意が必要であることを示唆しています。特に2000年の噴火は、地震活動、噴火、火山ガス放出、そして長期避難という複合的な災害でした。過去の周期性からも示唆される2025年頃の可能性も含め、気象庁による今後の情報に注意を払い、警戒を怠らないことが重要です。