かつて「ナッツ姫」として世間を騒がせた趙顕娥(チョ・ヒョンア)元大韓航空副社長(現在はチョ・スンヨンに改名)が、多額の国税を滞納し、自宅が国税庁によって複数回差し押さえられていたことが明らかになった。さらに、裁判所には自宅の強制競売開始決定まで申し立てられている状況だという。
不動産登記簿謄本によると、チョ元副社長の自宅は2024年1月16日、同年9月25日、同年12月11日、そして2025年4月30日と、計4度にわたり国税庁による差し押さえ登記がなされている。
チョ元副社長の自宅は、ソウル市江南区道谷洞に位置する高級マンション「ローデンハウス」だ。このマンションは、33世帯のイーストビレッジと19世帯のウエストビレッジで構成されており、チョ元副社長は1フロア1住戸のウエストビレッジの物件を所有している。彼女は2018年9月に保証金30億ウォン(約3億1500万円)の伝貰(チョンセ)でこの物件に入居し、2020年6月に45億ウォンで購入した。
チョ・ヒョンア元副社長の自宅であるソウル江南区の高級マンション「ローデンハウス」外観
滞納された国税の具体的な金額は、個人情報保護法の規定により公表されていない。しかし、国税庁の徴税課が主に個人事業者や法人事業者の滞納に関連する業務を担当していることから、チョ元副社長が法人税または付加価値税(消費税)を滞納している可能性が高いとみられている。
国税庁は自宅の差し押さえと並行して、裁判所に対して強制競売開始決定の申し立てを行った。現在、競売請求金額は明らかにされていないが、2023年1月に同じマンションの別の物件が競売に出された際の鑑定価格が47億5000万ウォンであったことを考慮すると、チョ元副社長の自宅も50億ウォン未満の評価となる可能性が推定されている。
チョ元副社長は2014年12月、米ニューヨーク発大韓航空機内で、マカダミアナッツの提供方法を巡り客室乗務員に激高し、離陸準備をしていた飛行機を引き返させた「ナッツ・リターン事件」で注目を浴びた。この事件により逮捕・起訴され、一審では懲役1年の実刑判決を受けたが、控訴審では航路変更罪については無罪となり、懲役10カ月・執行猶予2年の判決で釈放されている。
今回の税金滞納と自宅差し押さえ・競売申し立ては、過去の不祥事で知られる著名人が直面する経済的な問題として、再び世間の関心を集めている。
出典:朝鮮日報日本語版